発達障害のひとつであるADHD(注意欠陥・多動症)の当事者である借金玉さん。早稲田大学卒業後、大手金融機関に勤務するものの仕事がまったくできずに退職。その後、“一発逆転”を狙って起業するも失敗して多額の借金を抱え、1ヵ月家から出られない「うつの底」に沈んだ経験をもっています。
近著『発達障害サバイバルガイド──「あたりまえ」がやれない僕らがどうにか生きていくコツ47』では、借金玉さんが幾多の失敗から手に入れた「食っていくための生活術」が紹介されています。
今回は、本書の内容を元に、発達障害の生活が改善したモノ、ベスト1を紹介します(イラスト:伊藤ハムスター)。
・メモはしたけど、それを書いたメモ帳をなくしたことがある。
・予定とタスクが混乱してパニックになってきた。
・家で仕事や勉強をすることがある。
これらに当てはまっている皆さんに、今すぐ買ってほしいおすすめの仕事道具、あるいは日常道具があります。それは、ホワイトボードです。「は? IT全盛のこの時代にホワイトボード? なに言ってんの?」と思った方、ちょっと見ていって。実はこのハック、しょぼくて便利なローテクとITの融合ハックなんですよ。いや、ほんとに。
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書いて、書いて、書きなぐれ
発達障害の僕らにとって「細かく分けて収納したものは消滅してしまう」。これは、モノではなくて情報でも同じことです。あっちの付箋に、こっちの手帳に、あのレシートの裏に……と情報を細分化するのは効率を下げ、紛失リスクを上げる愚策でしかありません。ならば、デカくて紛失など起こりようもないホワイトボードにすべての情報を一元化すればいいのです。「絶対に紛失しない」メリットはとてつもなく大きい。「場所を取る」とか「捨てる時に粗大ごみ手数料を取られてしまう」欠点なんて誤差の範囲です。
きれいに書こうとする必要は全くありません。アイデアを思いついたらその場で書いて、アポが発生したら書いて、トイレットペーパーの在庫が切れたらまた書いて……書いて、書いて、書きなぐってください。
メモ帳を探す(見つからない!)、ページを開く(書きこんだ情報を消す妖精さんっていません? 僕の家にはいます)、ボールペンを用意する(こないだ10本買ったのに、僕にもわからない理由で一本もない!)、それらの工程を全部吹っ飛ばして、「とにかく書く」ことができます。
このホワイトボードハックが最大の力を発揮するのはスマートフォンと組み合わせた時です。パシャっと撮影してしまえば、それがそのまま「ノート」になるわけです。しかも、スマホは日付通りに写真を並べてくれますし、グーグルフォトと同期させればPCで開くのもいざという時のバックアップも勝手にやってくれます。
なるべくデカいのを買え
僕は最近、ホワイトボードの大きさを、壁掛けからキャスターつきにパワーアップさせました(このデカいホワイトボードは、この1年の、個人的ベストバイ商品です)。でかければでかいほど、生活改善の効果は大きいです。
先述した「常に目につく」「紛失しようがない」「思い立った時即座に書き込める」などのメリットに加えて、何かのアイデアや思考をまとめる時のノートはデカければデカいほど便利なのです。
人間の思考はこの文章のように上から下へ左から右へ整然と流れていくものではありません。あっちに飛んだりこっちに派生したり思わぬところで繋がったり、いわゆるメモ帳やノートには到底収まらない広がりを持っています。僕はこのクソデカホワイトボードハックに至るまで「ネタ出しや思考のまとめはスケッチブックでやる」ライフハックを採用していましたが、考えてみればスマートフォン(とグーグルフォト)にホワイトボードの組み合わせは完全に上位互換なんですよね。「ガス代の支払い明後日まで」みたいな忘れてはいけない封筒をペタっとマグネットで貼り付けておけば、メモする手間まで省くことができます。
最後に。ホワイトボードは使っていると段々汚れてくるので、たまにはキレイに拭きあげるためのアルコールスプレーを買っておくと便利です。うっかり油性ペンで書いちゃったときもこれで消せますから。「しまった。水性ペンが全部書けない、油性ペンしかない」なんてことが僕の人生にはままあるんですが、気にせず書いちゃいます。
※この記事は、『発達障害サバイバルガイド』の内容をもとに加筆・編集して作成したものです。