発達障害の人は、今でも「ちょっと変わった人」「空気の読めない人」などと簡単に決めつけられてしまうことが少なくありません。しかし、発達障害とは、一言で言えば“脳機能の特性”。発達障害の人と定型発達の人とでは、物事の受け止め方や感じ方、つまり「見ている世界」がかなり異なることがあるのです。まずは本人たちの「見ている世界の違い」を理解しましょう。理解し、コミュニケーション方法を変えることで、共に生きることが少し楽になるはずです。(精神科医 岩瀬利郎)
※本記事は『発達障害の人が見ている世界』(岩瀬利郎著)から抜粋・再編集したものです。
悪気はないのに、なぜか人を怒らせてしまう
自分なりの強固な世界観を持っていて、相手の気持ちを想像する力が乏しかったり、相手の言葉を字義通り受け止めがちなASD(自閉スペクトラム症)の人。
多動傾向があるため、人の話を黙って聞いていられなかったり、注意力散漫で約束をすっぽかしたりすることがあるADHD(注意欠如・多動症)の人。
ASD・ADHDといった発達障害の人は、相手との関係性や反応を読むのが苦手なことが多く、周囲の人が「エッ」と驚くようなその場にそぐわないことを口に出すこともあります。簡単に言えば、「空気を読む」ことが非常に苦手。
そんな本人たちの言動の「なんで?」が理解できれば、イライラせずに受け止めることができるはずです。
ここでは、不用意な一言で相手を怒らせたり、周囲を凍りつかせたりしてしまう人の例を紹介します。
もし、あなたの周りにこの事例に当てはまるような人がいれば、ぜひ、参考にしてみてください。
そうすれば、あなたと本人が抱えている悩み事が減り、共に生きるのが少し楽になるはずです。