2023年4~6月期の1人当たり
実質雇用者報酬の前期比変化率
賃金の上昇が物価高を上回りつつある。2023年4~6月期の1人当たり実質雇用者報酬は前期比+0.1%だった。インフレ率が低下した影響があるとはいえ、約2年ぶりの増加だ。23年春闘の影響が本格的に表れる7~9月期は増加率が高まるだろう。
賃上げが進んだ背景には、価格転嫁率の高まりや深刻な人手不足がある。22年の輸入物価の急騰を契機に経済全体で値上げが浸透し、賃上げによる人件費増も販売価格に転嫁する傾向が強まった。また、労働力確保のため、春闘では中小企業や非正規雇用にも賃上げの動きが一気に広がった。
転職市場における需給逼迫も賃上げを促している。パーソルキャリアによると、19年で1倍台前半だった転職求人倍率は、23年7月に約2.3倍まで上昇した。人材流出のリスクが今までより大きくなった分、企業に賃上げのインセンティブが高まったといえる。