現場労働の生産性向上は期待薄
AI活用での「不都合な事実」
人口減少による構造的な労働力不足の問題が、リベンジ消費やインバウンド需要回復などによるコロナ禍からの経済回復本格化の下で一気に表面化した形で、ほぼすべての産業分野で人手不足になっている。
こうした状況の突破口として期待が高まるのが、発展が目覚ましい生成AIなどのデジタル技術の活用だ。
活用でさまざま業務が自動化し労働生産性を高めることができれば、労働力は少なくて済む。構造的な労働力不足に直面する日本はその恩恵を最も受ける可能性があるというわけだ。
筆者はこの考え方には賛成だが、ただし「条件付き」だ。現状では、生成AIなどが一般的に想定されている使い方がされても、生産性向上効果は、人手不足が最も深刻な外食や宿泊、介護などのサービスや建設、物流など現場労働の分野ではあまり期待されるものではないからだ。
やり方を間違えると、人手不足の解消に役立たないばかりか、かえって余剰人員を生んでしまうことに注意が必要だ。