韓国で長く読まれている勉強の本がある。日雇い労働をしながら4浪の末、ソウル大学に首席で合格した『勉強が一番、簡単でした』(70万部)。韓国では「受験の神」と称され、勉強に携わるもので、その名を知らない人はいない。日雇い労働者からソウル大学首席合格者になるまで、人生の大逆転を成し遂げた、韓国で知らない人はいない奇跡の物語。読後、モチベーションが高まり、勉強したくなる自分に驚くはず。超ロングセラー本『勉強が一番、簡単でした』から、その驚くべき内容を紹介する。
勉強を始めたら、みんなと話をしない
昼食をとって、また席に戻って勉強をする。夕方になると、学生の多くは弁当ではなく外の食堂に出かけるのだが、そうすると金もかかるし、友達と外で夕食をとってくると弁当を食べるよりずっと時間がかかる。だから私は、毎日弁当を2つ持っていって昼食と夕食はさっさと済ませ、また座って勉強をした。
とはいえ、私は予備校の仲間と完全に壁をつくっていたわけではない。私も人間だ。朝は予備校に行くと、顔を合わせる友達一人ひとりに「おはよう」とあいさつし、休み時間にはみんなと冗談を交わした。年齢が一番上で勉強もしっかりやる私は、みんなから「ボス」と呼ばれ、兄貴扱いされていた。
だが、いったん勉強を始めたら、まるで人嫌いになったように口を閉ざした。勉強に集中しているときは、精神が教科書にのめり込んでいる状態だ。
誰かと話をすると気持ちが外に向いてしまうため、元の集中状態になるまで時間がかかる。それにいったん話を始めるとなかなか終わらず、人間関係にも気を使うため、さらに時間と集中力を無駄にすることになるのだ。
浪人生のほとんどは遊び盛りで、恋愛にも関心のある年頃だ。彼らの話題はつまらない雑談か、勉強がつらいという愚痴か、あるいはどこかに遊びに行こうという話ばかりだ。そんな話なら、むしろしないに越したことはない。そのほうが、少しでも浪人生活が楽になるだろう。
夜間自習の時間には、浪人生たちの孤独と若い情熱が発する臭いが教室に充満しているようだった。その臭いと蛍光灯の白い光を、私は永遠に忘れることはできないだろう。私は多くの予備校生たちのひとりとして教室に座っていたが、私の心は活字と知識に満ちた無限の宇宙を、ひとり無我夢中でさまよっていた。
だが、私には人生を丸ごと賭けた望み、涙が出るほど切実で、喉が焼け付きそうな望みがあった。
午後10時。夜間自習を終えて帰路に就く。ネオンサインが灯る夜の道を歩きながら、ひとりつぶやく。
「これだけ勉強したんだから、今日も完璧な一日だった!」
(本原稿は70万部のベストセラー『勉強が一番、簡単でした 読んだら誰でも勉強したくなる勉強法』から一部抜粋したものです)