「勉強を続けられる人」と「途中で諦めてしまう人」の差は、どこで生まれるのだろうか。
受験大国・韓国で社会現象になった50万部のベストセラー『勉強が面白くなる瞬間』著者・パク・ソンヒョクは、「モチベーションを保つためのカギは『心』の整え方にある」と語る。彼は、塾さえない環境で周囲より遅れて勉強を始めたが、「心」を鍛えれば環境や頭脳は何の問題にもならないと固く信じて勉強。その結果、韓国トップのソウル大学法学部をはじめ、延世(ヨンセ)大学経営学部、東新(トンシン)大学韓医学部にも同時合格するという快挙を達成した。
学生の98.4%がこの本を読んで「勉強をしたくなった」と証言したという本書。なぜ、勉強をしなかった人たちが勉強に夢中になるのか? 勉強の本質とは何か? 本稿では、本書より一部を抜粋・編集して、「勉強が苦しくてたまらない時期を乗り越える方法」を紹介する。(構成:川代紗生)
EXO・カイの過酷な下積み時代
受験大国・韓国で社会現象を起こした大ベストセラー『勉強が面白くなる瞬間』では、韓国で大人気の男性アイドルグループ「EXO(エクソ)」のメンバー、カイのストイックなエピソードが紹介されている。
本書では、カイ以外にも、強靭な精神力を持つバスケットボール選手、マイケル・ジョーダンや、「執筆に集中するため、刑務所のような檻に自分を閉じ込めた」という韓国の小説家、イ・ウェスなど、著名人のエピソードが多数紹介されている。
著者がこのような事例を挙げた理由は何か?
それは、他人と比べてしまう「心のクセ」をなくすためだ。
長期戦突破のカギは「モチベーター」を持つこと
あの人の方が成績がいい。
あの人の方が努力している。
あの人の方は合格できそうだが、自分はきっと無理だ。
目標を達成したいのに、ついライバルと比較して落ち込んでしまうことは多々ある。
「ライバルと競争するのはやめて、自分にできることをコツコツやろう」と決意しても、簡単に心は変えられない。一瞬で気持ちを切り替えられるほど、心は簡単ではない。
そんなときのヒントとして、「心の中にモチベーターを持つ」という方法が紹介されている。
それは彼ら自身、自分との孤独な戦いに勝利を収めた人たちだからです。
心の中にライバルを持つと、常に相手が持つ「条件」に目がいってしまいますが、モチベーターを持てば、彼らの「人生に対する態度」が見えます。(P.136)
「比べてしまう」という心のクセを取り除くこと自体が難しいのなら、比較対象を「すでに戦いを乗り越えた憧れの人」に変えてしまおう。
本書の著者も、勉強に全力で取り組もうと決心したきっかけは、最高のモチベーターに出会ったことだという。
著名人、家族、知人……。目を閉じて思い浮かべたとき、心がもっとも熱くなり、孤独に打ち勝つ勇気をくれる人は誰だろうか。その人を、あなたのモチベーターにしてみよう。
「続けられる人」と「続けられない人」の決定的な違い
目標を達成するまで勉強を続けられる人、途中で挫折する人。
本書では、その決定的な違いは、「勉強が面白くなるまでには、学習初期特有の『つまらなくて退屈な段階』がある」と知っているかどうかだと書かれている。
勉強をはじめたばかりの頃は、当然、何も理解できない。わからないところがどこなのかもわからない。
たとえば歴史の教科書をはじめて読むとき、見たこともない専門用語や人物名ばかりで、頭が混乱するはずだ。
全体の流れもわからないままひたすら暗記するしかないので、当然、一度目を通しただけではテストで満点をとれない。
頭の中に知識が染み込むまで時間がかかる。暗記しても数日経てばすぐに忘れてしまうので、面白みもない。
それは当たり前のことであり、なんでも初めからうまくいくわけではない。学習初期の退屈で苦しい期間を乗り越え、ある程度の知識が身についてようやく、本当の面白さに気づけるものだ。
目標達成できる人は「退屈な段階」を耐え抜き、コツコツと地道に努力を続けられる。ここで粘れるかどうかが、結果の差につながるのだ。
この苦しい期間を乗り越えるためにも、心の中に「モチベーター」を持とう。身近なライバルと点数を競い合っていては、苦しい時間が余計に苦しくなるだけだ。
「あの人にだって下積み時代はあった」と思えるような人に励ましてもらおう。
そうして目標を達成した暁には、少しは憧れの人に近づけたと自信を持てるはずだ。