写真:岸田文雄首相米ニューヨークの国連本部で会見に臨む岸田文雄首相(9月20日) Photo:JIJI

岸田文雄首相が米ニューヨークでの投資家向け講演において、「資産運用特区」を創設する構想を公表した。好意的に報じる記事も多いが、筆者は目の前が暗くなるようながっかり感を覚えた。根本的な勘違いに基づいた構想であり、絶望的な落第点というしかない。その理由をお伝えしたい。(経済評論家 山崎 元)

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資産運用特区はツッコミどころ満載

 岸田文雄首相は9月21日の午後(日本時間22日未明)に米ニューヨークで投資家向けに講演した。過去に成果があったとは思えないし、支持率の上昇につながっているようにも見えないのだが、岸田首相は外交好き・外遊好きである。この度は、最重要な外遊先だと彼が思っているに違いない米国を訪れて、現地の投資家向けに講演を行った。

 その話の目玉が、日本における資産運用特区の設置構想だと報じられて、筆者は、目の前が暗くなるようながっかり感を覚えた。

 平たく言うと、彼は、「海外の(主に米国の)運用会社が日本でビジネスをしやすいように特例を設けるので、ぜひ日本に進出して、日本企業に投資してください」というお願いをしに行ったのである。

 この構想はツッコミどころが満載だ。海外の運用会社を誘致するタイミングが「いまさら」な点、なぜ海外の運用会社を呼ばなければならないのかという認識のズレ具合、そしてその手段が「特区」であるということの貧しさなど、気が遠くなるくらいの情けなさだ。