「勉強ができるからほめるのではなく、ほめることで自己肯定感が上がり、子どもは勉強が好きになる」――進研ゼミの「赤ペン先生」全国代表である佐村俊恵さんは、こうした信念を持って、多くの子どもたちと接してきた。赤ペン先生の間で伝わる「ほめノウハウ」を使いながら、20年以上にわたり、のべ8万枚以上の答案を見続けてきたという。
この記事では、佐村さんの新著『57年間、9200万人の子どもを励まし続けた 赤ペン先生のほめ方』の発刊を記念して、「赤ペン先生」全国代表である佐村さんの特別インタビューをお届けする。
(構成/藤田美菜子、ダイヤモンド社書籍オンライン編集部)

子どもが家でダラダラしているとき、プロは「勉強しなさい」と言う代わりになんと言う?Photo: Adobe Stock

「叱られた子ども」の頭の中で起きている“残念な”こと

――子どもが家でダラダラしていると、つい口うるさく叱りたくなってしまいます。「赤ペン先生」歴20年超えで、子どもの「やる気」の上げ方を知り尽くしている佐村さんなら、どのように声をかけますか?

佐村俊恵(以下、佐村) 「勉強しなさい」と言いたくなってしまう気持ちもわかるんです。でも、感情的に声をかけると、子どもは「大好きなお母さんがこんなに怒っているんから、とりあえず勉強したほうがいい」というふうに考えてしまうのではないでしょうか。

どうしてお母さんが怒っているのかというところまで考えが及ばないと、また同じようなことを繰り返してしまう。それは、おうちの方が本当に望んでいることではないですよね。

子どもがダラダラしていると感じてイライラしたときに、まず想像してみてほしいのは、本当に「ダラダラ」しているのかということ。ダラダラというと、すごく無駄に時間を過ごしているように思えますが、実は「今日はたくさん動いたから、ちょっとゆっくりしたい」とか、「もっと遊んでいたい」とか、子どもなりの事情もあると思うんです。

もちろん、子どもにイライラしてしまうこと自体は、それだけお子さんにまっすぐ向き合っている証拠でもあると思います。ただ、そのイライラをそのまま言葉にしてぶつけるのではなく、一呼吸置いてから伝え方を考えてみてほしいなと思いますね。

こんなとき、私なら「何時までゆっくりする?」と声をかけます。そうすると、子どもも自分で決めたことだから、その時間になると「そろそろ勉強しなくちゃな」みたいな感じで腰を上げるようになります。

勉強をしぶる子は、本当に「勉強がイヤ」なのか?

――なるほど。子どもが自分で区切りをつけられるようにするんですね。

佐村 そうですね。あと、時間になっても子どもがぐずぐずしていたとして、それは必ずしも「勉強がしたくない」からではないかもしれません。もっとおうちの方といっしょにいたくて、勉強部屋に行きたくのかもしれない。だから「ここ(リビング)で勉強したら?」などと声をかけてあげるのもいいと思います。

おうちの方も横で本を読んでいるとか、同じような時間を共有してあげると、子どもも「じゃあ自分もやろうかな」という気持ちになりやすいんですよね。勉強って孤独だと嫌なものですから、一緒にいる安心感のなかで取り組めるようにしてあげるのが一つの方法かなと思います。

それでも子どもが乗り気でなさそうなら、「教科書だけでも広げてみたら?」など、取り組みやすいようにハードルを下げてあげてもいいですね。

「親が言っても聞かないのに、赤ペン先生の言葉は聞く」理由

――赤ペン先生には、保護者の方から「子どもがなかなか勉強しない」といったお悩みも届くそうですね。

佐村 「子どもがやる気を出すようなメッセージがほしい」といったリクエストは、折に触れていただきますね。

そんなときは、「毎日、お風呂前の5分を『チャレンジタイム』にしてみよう」とか、「夕食前の15分間、ちょっとだけやってみない?」といったメッセージを、おたより欄に書き込んでいます。「勉強しようね」ではなくて、「この時間だったらできそうだよね」という提案ですね。

保護者の方のアンケートでは、「親が言っても聞かないけど、赤ペン先生が言ったことは聞く」という感想をいただくことが多いのですが、おうちの方の場合も「~~しなさい」という命令ではなくて、「こうしてみたらどうかな」という伝え方にすれば、子どもも取り組みやすくなると思います。

そのためには、やはり大前提として、常の会話のなかで、お子さんにいかに寄り添えているか、いかに話を聞いてあげているかが大切です。

普段からコミュニケーションが取れている家庭であってこそ、「こうしてみたら?」というアドバイスが自然に届く。お子さんとの「信頼関係」の構築を、何よりも大切にしていただきたいですね。

(本記事は、佐村俊恵著・ベネッセ「進研ゼミ」監修『57年間、9200万人の子どもを励まし続けた 赤ペン先生のほめ方』をもとにした書き下ろしです)