岸田文雄首相は今や筋金入りの増税主義者と目されている。しかし、実は驚くべきことに、岸田首相の政治の原点は「減税」だった。国会議員として初当選を果たした当時は減税の必要性を訴えていたのだ。(イトモス研究所所長 小倉健一)
旧民主党の政権末期と重なり始めた
岸田政権の「政権担当能力」の欠如ぶり
岸田文雄首相は、7月21日、政策課題を巡り国民と意見を交わす地方行脚の第1弾として、栃木県足利市の障害者支援施設とワイナリーを視察した。視察後、記者団に対して、「政権発足の原点の姿勢を大事に、積極的に現場の声を聞かせてもらう」と述べた。
朝日新聞は社説(7月26日)で、「原点回帰を掲げ、改めて現場の声に耳を傾けるというなら、自らの政権運営を謙虚に省み、国民の支持が離れた原因に思いを致さねばならない。対話集会を単に重ねるだけでは、信は取り戻せないと知るべきだ」と厳しく糾弾している。
岸田政権の問題、課題はたくさん指摘されているところではあるものの、批判が多岐にわたりすぎているために、本質的なことが議論されていないように受け止めている。
本質とは何か、それは政権担当能力のことだ。過去には旧民主党政権が低迷と内紛を繰り返したことで「政権担当能力」を疑われ、そのまま政権交代へとつながったこともあったが、岸田政権もその兆候が見えている。それが何かといえば、何の効果もないことが分かっている政策に対して、人気取りのために巨額の予算をバラまいていることである。