❹そもそもやりたいことを見つけるのは難しい

 ❶では就活でやりたいことを見つける分析ができていないという点を指摘しましたが、仮に分析をしようとしても、自分のやりたいことを見出すのが難しいという別の問題もあります。

 日本型の年功序列と終身雇用が保証されていた高度経済成長期には、いわゆる“いい大学”を出て大手上場企業に入り、転職など考えもせず、同じ会社で脇目も振らずに会社員として定年まで勤め上げるのが、ある種の勝ち組とされてきました。

 他人と同じでいい&同じがいいという同調圧力が強い日本では、その価値観に逆らうのは難しかったでしょう。その時代には、やりがいを見つけるという難しい作業をしなくても、勝ち組に入る努力を重ねて、“いい大学”から大手企業へ敷かれた見えないレールを黙って進んでいれば、他人と同じレベルの幸せは手に入ったのかもしれません。

 ところが、年功序列も終身雇用もとっくの昔に崩壊してしまい、一人ひとりの価値観が多様化して選択肢も多くなってくると、働き方の自由度が高まり、同調圧力に負けて他人と同じ働き方をする必要はなくなりました。

 何をしてもいいと言われると、途端に何をしたらいいのかがわからなくなるもの。ですから、本業でやりたいことを見つけるのは難しいのです。