株式投資をする人たちの間で大きな支持を集める話題の1冊が『株トレ――世界一楽しい「一問一答」株の教科書』だ。60問のクイズを答えるだけで「投資のコツ」をつかめる手軽さが人気を博し、絶賛の声が尽きない。
本稿前半では、『株トレ』の著者であり、ファンドマネジャーとして2000億円超もの資金を運用してきた経歴を持つ楽天証券・窪田真之氏に、「株で勝てる人に共通するトレードの考え方」について教えてもらった。さらに本稿後半では、特別に『株トレ』から一部を抜粋して紹介する。
Photo: Adobe Stock
株のトレードで勝つための鉄則
――株で勝てるようになるために、これだけは絶対に知っておかなければいけないことを教えてください。
窪田真之（以下、窪田）：個人投資家が株のトレードで勝つための鉄則は、トレンドにしたがって売買をすることです。
買いの勢いが強く、株価がぐんぐん上昇している時に買います。
反対に、売りの勢いが強くて暴落している時は、すぐさま売らなければいけません。
――株価がどっちつかずで、トレンドが出ていない時はどうすればいいでしょうか？
窪田：トレンドが出ていない銘柄は売買しません。様子見です。
株価が一定の価格帯で上下しているボックス相場では、運まかせのトレードになってしまうからです。
ボックス相場からトレンド相場に転換したタイミングが売買のチャンスです。
一定の価格帯の中で上下していた銘柄が、売買高の上昇とともに急騰した時こそ、買いのチャンスです。多くの投資家、特に取引額の大きい機関投資家が急いで買っていることがわかるからです。
すぐに逃げる人、すぐに寝返る人が株で勝てる
――上がっているときに買い、下がれば売る。シンプルな考え方なのですね。
窪田：「なんだ、そんな単純なことか」と思う人もいるかもしれませんが、実際には多くの個人投資家が逆の動きをしてしまいます。
孫子の兵法には、「味方が多ければ攻めろ、敵が多ければ逃げろ」という教えがあります。なぜこんな当たり前の教えが書かれているかというと、この当たり前のことを実行できない武将が多かったからではないでしょうか。
株も同じです。チャートを見ながら形勢を判断して、買いが多ければ自分も買いに回り、売りが多ければさっさと手放して逃げるのです。
戦の場合には一度の負けが命取りになるかもしれませんが、株の場合は負けても損切りをするだけです。
信用取引でトレードしている人であれば、寝返ることも可能です。買いに回って負けた時には、直ちに損切りをして、空売りで儲ければいいのです。
「この会社はいい会社だから、絶対保有し続けるぞ」というように、1つの銘柄に忠誠を誓うようなことをしてはいけません。
相場の状況を見て、すぐに逃げる、すぐに寝返ることができる人こそが株で勝てる人です。
『株トレ』のクイズにチャレンジ
次のチャートの銘柄を1年前に200株保有していました。
じりじり下がり続ける株価を見て430円で100株損切りしました。その後、株価は一時335円まで下がってしまいました。
しかし、そこから株価は急反発、現在500円まで上昇しています。
さて、売り、買い増し、様子見、どうする？
正解は……
正解は、買い増し。
「430円で売った株を今さら500円で買い戻せない」と思う人が多いでしょう。しかし、買い増しすべき理由がチャートにたくさん出ています。
「売り」は最悪の投資判断です。株価が大きく下がった時に、含み損を抱えて嫌な思いをしていたので、株価が急反発した時に「売っておサラバしたい」気分になる人も多いようですが、ここで売ってはもったいないのです。
100株持っているので「様子見」も悪くはありませんが、好機でしっかり動く積極性がほしいところです。
（本稿は、『株トレ――世界一楽しい「一問一答」株の教科書』から抜粋・編集したものです。）
