★子育てとは、子どもに同じことを何百万回も言う生活! 誰がやってもそうなるので、どうせ言うなら楽しく言おう★
【総フォロワー数25万人!】長年の教師生活で多くの親と接したなかから生まれた、熱い思いの詰まった言葉を365個掲載した書籍『子育て365日 親の不安がスーッと消える言葉集』が、あらゆる年代の親に刺さると話題。親力アドバイザーとして名高い教育評論家の親野智可等氏がいま子育て中の人に伝えたいことがあります。

【取扱注意】子どもが絶対賢くなるほめ方、ダメになる叱り方Photo: Adobe Stock

あるお母さんの作戦がすごかった!

子どもを伸ばすのにとても効果的な方法があります。
それは「チームでほめる」ことです。

私が小学校の先生だったとき、あるお母さんから次のように頼まれたことがありました。

「毎日うちの子を『ノートの使い方が上手だ』と家でほめているんです。先生からもほめていただけると嬉しいです」

それで、私も「ノートの使い方が上手だね。うまく間を空けてあって見やすいよ」「番号を縦横でそろえて書けているね」というように、ことあるごとにほめました。
すると、実際にその子はノートの使い方がどんどん上手になっていきました。

じつはこのお母さんは、私だけでなく塾の先生にもまったく同じお願いをしていたそうです。
ですから、子どもは家と学校と塾でノートの使い方をほめられたのです。

3ヵ所で同じことをほめられれば、疑いようがありません。
その子はノートの使い方がどんどん上手になって、自信を持つようになりました。
その結果、勉強全体に意欲が出てきてがんばるようになりました。

私は「これはいい方法だ!」と気づき、「チームでほめる」と名づけました。

チームで言われると体調まで影響される!

このとき、私はそれ以前にテレビで見たおもしろい実験のことを思い出しました。
ある会社員が出社したとき、最初に会った人から「元気ないね。大丈夫?」と言われました。
彼は「そんなことないよ。元気だよ」と答えました。

しばらくして、また別の人に「顔色悪いよ。病気じゃない?」と言われました。
それで、ちょっと表情を曇らせながら、また「そんなことないよ」と答えました。

ところが、その後また別の人に「顔色悪いよ。カゼひいたでしょう」と言われました。
その後、彼はしばらく思い悩んでいる様子でしたが、結局上司に願い出て早退しました。

3人に言われると誰でも信じてしまう!

もうひとつ、参考になる中国の故事を紹介したいと思います。
「曾参殺人(そうしんさつじん)」という四字熟語にもなっている有名な話です。

曾参(そうしん)は孔子(こうし)の弟子の一人で親孝行な人格者として有名でした。
決して人を殺すような人ではありません。

ところが、あるとき曾参一族の誰かが人を殺してしまいました。
曾参が殺したと勘違いした人が、曾参の母親に「曾参が人を殺した」と言いました。

でも、母親は息子がそんなことをするはずがないと思って信じませんでした。
ところが、続いて別の人が同じことを言いにきて、その後また3人目の人が同じことを言いにきました

3人目の話を聞いたとき、母親はさすがに信じざるを得なくなって、やりかけの機織り仕事を放り出して、家の外に飛び出したのでした。

このように、大人でも同じことを3人に言われると信じてしまうのです。
子どもにおいてはなおさらだと思います。
ですから、「チームでほめる」効果は非常に大きいのです。

ぜひ、親御さんが「ほめるチーム」をプロデュースして、みんなで子どもをほめてあげてほしいと思います。

逆をやってしまうと最悪の展開に!

ところが、実際はこの逆の「チームで叱る」をやってしまう人もいます。
つまり、「うちの子はだらしがないから、先生からも叱ってください」などと、「叱るチーム」をプロデュースしてしまうのです。

家で叱られ学校で叱られ塾で叱られ、などということになれば、どんな子でも「自分はダメだな」と思い込んでしまいます。

人生は思い込みで決まりますので、子どもがよい思い込みができるようにしてあげてほしいと思います。

◆本原稿は、『子育て365日 親の不安がスーッと消える言葉集』の著者・親野智可等が子どもに関わるすべての人に伝えたい書きおろしメッセージです。(次回へ続く)