英語をたくさん勉強したのに、いざとなると全く言葉が出てこない――そんな人に読んでほしい1冊が『中学英語だけで面白いほど話せる!見たまま秒で言う英会話』だ。「イラストを見る→見たままを英語にする」を繰り返すことで、日本語を介さずに瞬時に即答する「英語の反射神経」を鍛えることができる。実践的なスピーキング力を養うための最適な1冊だ。本稿では著者の森秀夫さん(麗澤大学外国語学部教授)に「言いたい単語や表現がパッと出てこないときに、上手く言い換えて伝えるコツ」を教えてもらった。
(1)発想の転換をする
――英語を話そうとすると、言いたい言葉がなかなか思い浮かばないせいで会話が止まってしまいます。どうすれば言いたいことをスムーズに言えるようになるでしょうか?
森秀夫(以下、森):思い浮かばない英単語を何とかして思い出そうとするよりも、発想を転換し、言いたいことを違う方法で説明してみるとよいでしょう。
例えば、「洗濯をする」が英語で言えない場合を想定してみましょう。
I do laundry on weekends.「私は毎週末に洗濯をする」と言いたいところですが、do laundry「洗濯をする」が思い浮かばない場合、ほかにどんな言い方ができるでしょうか?
I wash my clothes on Saturdays and Sundays.「私は毎週土曜日と日曜日に衣服を洗う」と言えば、言いたいことは相手に伝わります。
――それが発想の転換をするということなのですね。
では、I want to eat out tonight.「今晩は外食をしたいです」と言いたいところで、eat out「外食をする」という表現が思い浮かばない場合は、どんな言い方ができるでしょうか?
「外食をする」とは、レストランなどで食事をすることですので、I want to eat at a restaurant.と言えばよいでしょう。
(2)日本語の解釈をする
――直訳では英語にできない日本語表現はたくさんありますが、そんな時はどう伝えればよいですか?
森:そんな場合は、日本語を解釈して自分の言葉で言い換えてみましょう。直訳ではなくても、本当に伝えたいことが伝わればよいわけですから。
例えば「彼は金づちです」ということを、He is a hammer.と言っても通じませんよね。
金づちということは、「泳げないので、金づちのように沈むこと」です。
He can’t swim, so he sinks like a rock.「彼は泳ぐことができません。それで、岩のように沈んでしまいます」のように言えますね。
ほかの例も挙げてみましょう。「彼はいつも仕事に追われている」と言いたい場合はどうでしょうか。
「仕事で本当に忙しい」と伝えることができればよさそうですね。
つまり、He is always busy with his work.と言えます。実際に仕事が彼を追いかけているわけではありません。
――日本語をそのまま英語に変換しようとするのではなく、自分のボキャブラリーを使いこなして説明することが大事なんですね。
森:その通りです。ではもう一つ、「彼はいつも衝動買いをする」と言いたいときはどうでしょうか。
直訳すれば、He always buys things on impulse.となりますが、on impulse「衝動で」という表現は、なかなか出てこないかもしれません。
He always buys things without thinking about whether he needs them or not.「彼は必要か必要でないか考えずに、物をいつも買っています」のように言い換えれば、相手に伝わります。
(3)具体的に説明する
――形容詞のような抽象的な単語が思い浮かばないときは、どうすればよいでしょうか?
森:抽象的な言葉は、具体的に説明します。
例えば、stubborn「頑固な」という英単語が思い浮かばない場合はどうでしょうか。
He doesn't listen to others. He doesn't change his mind, or ideas easily.
このように具体的に説明すると、「頑固な」というニュアンスが伝わります。
――「あの言葉が出てこない」と考え込むのではなく、伝えたい言葉にまつわる状況や行動を具体的に説明していけばいいわけですね。
森:そうです。もちろん、できるだけ多くの英単語を覚えることは大切ですが、覚えても忘れてしまうのが英単語です。
ぜひ簡単な英語を使いこなして説明するトレーニングを積んでください。
中学レベルの英語でも、自由自在に使いこなせるようになれば、即興で説明する力が身につくので、色々な会話に対応できるようになります。