英語をたくさん勉強したのに、いざとなると全くしゃべれない――そんな人に読んでほしい1冊が新刊『中学英語だけで面白いほど話せる!見たまま秒で言う英会話』だ。「イラストを見る→見たままを英語にする」を繰り返すことで、楽しくアウトプットのトレーニングができて、実践的なスピーキング力を養える最適な1冊だ。本稿では著者の森秀夫さん(麗澤大学外国語学部教授)に「英単語を記憶に定着させるコツ」を教えてもらった。
忘れてしまうのは当たり前
――英単語帳を使って英単語を覚えようとしても、しばらくすると忘れてしまいます。どうすれば忘れずにいられるでしょうか? 効果的な覚え方はありますか?
森秀夫(以下、森):忘却曲線について聞いたことがあるでしょうか。
ドイツの心理学者エビングハウスによると、20分後には覚えた内容の42%を忘れ、1日後には70%以上忘れるということです。
皆さんは、英単語を覚えることができない理由を「記憶力が悪いから、忘れてしまう」や「年齢のせいで覚えるのが遅い」などと思うかもしれません。
しかし、覚えたものを忘れるのは当たり前のことなのです。
英単語を覚えられない理由探しはやめてください。その代わりに、復習する時間と回数を確保していきましょう。
(1)何度も繰り返す
森:英単語の学習は、筋トレと同じだと考えてもよいかもしれません。
定期的に筋トレを繰り返さないと、筋力が落ちてしまいます。
英単語を覚えるコツは、何度も繰り返すことです。
範囲を広げ過ぎずに、ある一定の範囲の英単語を何度も何度も繰り返し復習しましょう。
何度も繰り返すことで、徐々に英単語が定着していきます。
――何度も繰り返し復習するうえで、心がけた方がよいことはありますか?
森:覚えにくいと感じる英単語ほど、早めに繰り返し復習することが大切です。その際に、注意すべきことがあります。
まず、英単語を見て、日本語の意味が秒で言えるようになるまで覚えます。
次に、日本語を見て、英単語を秒で言えるようになるまで覚えるのです。
また、英単語は正しい発音とともに覚えることが大切です。
正しい発音とともに英単語を覚えないと、リスニングやスピーキングでは、全く役に立ちません。
(2)アウトプットする
――英語学習にはインプットだけでなくアウトプットが重要だと聞きましたが、英単語の数が多すぎて、すべてアウトプットできません。どうすればよいのでしょうか?
森:学んだ英単語をすべてアウトプットすることは現実的ではありませんね。
英単語の中から、自分で使いたいものを一部選んでアウトプットすることでも十分です。
覚えた英単語を使って人に話すなど、アウトプットすることで記憶に残りやすくなります。
覚えたことを人に話すことで、自分の頭の中で情報が整理されて、記憶しやすくなるのです。
また、アウトプットは、人に話すことだけではありません。
例えば、ある英単語を使って、英文日記を書いたり、ダイアローグを書いたりするのです。
例えば、run「~を経営する」という英単語を覚える場合、
I want to run a flower shop in the future.
「将来、花屋を経営したい」
のように自分の夢と結び付けて覚えると記憶しやすくなります。
また、覚えたことを他人に教えることも効果的です。
家族や身近な人に話してみたり、学生の方は同級生や後輩に教えてみたりするのはどうでしょうか。
(3)語呂合わせ――マジメになりすぎず、時には力を抜こう
――英単語を覚えるのは単調です。飽きずに続けるコツはありますか?
森:そうですね。英単語を覚えることは、単調で退屈な作業の繰り返しになってしまいます。
退屈だと時間をかけるもの苦痛になりますよね。
英単語の暗記をより楽しく、より効果的に記憶に残る方法を1つご紹介します。
それは、自分で語呂合わせを考えることです。
例えば、anniversaryは、「記念日」の意味です。「兄がバッサリと髪の毛を切った記念日」のように覚えると、発音も意識して意味を覚えられるかもしれません。
また、kennelは、「犬小屋、犬のホテル」の意味です。「犬(ケン)寝る場所」のように覚えると、覚えやすいです。
すべての英単語に応用できるわけではありませんが、時には力を抜くことも大切。楽しく学べる人ほど、英語学習を継続できて、実力も上がっていきやすいでしょう。英単語を語呂合わせで覚えるのも楽しい学習方法の1つです。