英語をたくさん勉強したのに、いざとなると全く言葉が出てこない――そんな人に読んでほしい1冊が『中学英語だけで面白いほど話せる!見たまま秒で言う英会話』だ。「イラストを見る→見たままを英語にする」を繰り返すことで、日本語を介さずに瞬時に即答する「英語の反射神経」を鍛えることができる。実践的なスピーキング力を養うための最適な1冊だ。本稿では著者の森秀夫さん(麗澤大学外国語学部教授)に「英語学習の習慣化のコツ」について話を聞いた。
(1)段取りの得意な人が、英語力を伸ばしている
森秀夫(以下、森):英語は一朝一夕で身につくものではないので、継続のために習慣化することが重要です。
私が英語を学んでいる学生たちを見て気づいた習慣化のコツを紹介しましょう。まず大事なことは、学習の段取りです。
――英語学習での段取りとはどのようなことでしょうか?
森:段取りとは、To-Doリストを作った上で、何の優先順位が高いのか、何をいつすべきなのかを明らかにして、行動に移していくことです。
安定して英語力を伸ばしている一人の学生がいました。彼女の学習方法の特長は、スケジュールの中で、勉強する時間、場所、使用する参考書と範囲を細かく決めていることでした。
例えば、「朝起きたら、NHKのラジオ英会話を聴く」「電車通学の20分間を活用して、英会話のキーセンテンスを覚えて、単語の置き換え作業をする」「スマホアプリで英単語を50個覚える」などです。
つまり、「いつ」「どこで」「何を」「どのくらい」やるのかを決めるということです。
多くの学生は、To-Doリストを書いてもそこで満足して、継続的に学習することができませんが、彼女は細かく段取りを決めることで確実にこなしていました。
(2)学習の「見える化」で振り返りを可能にする
――計画を立てても、実行に移せない学習者がいると思いますが、そのような学習者にアドバイスはありますか?
森:学習記録の「見える化」を図ることも有効だと思います。スケジュールを1週間単位で作成して、手帳などに学習の記録を残すのです。
ある学生は、毎日、新聞記事を1つ読むという計画を立てて、コピーした記事に単語の意味、音読の回数や日付などを書き込んでいました。
1年後には、相当な数の記事と学習成果の蓄積が目に見えて、自信につながっていたようです。
学習記録を残すことで、学習成果の振り返りが可能になるので、「今日もやった」「これだけ続けることができた」という満足感や達成感を得られます。
加えて、学習記録を残した結果、TOEICのスコアなど、何か目標を達成できれば、自分の英語力に自信を持てるようになります。
このような成功体験を重ねることで、自己肯定感が大きく上がり、学習習慣がより強化されていくのです。
(3)目標を仲間と共有する
――1人だと学習が続かない人には、どのようなことが必要になるでしょうか?
森:これもある学生の経験談です。
「TOEIC730を取得する」や「英語検定準1級を取得する」などの同じ目標を持つ学生同士が、勉強会を開いて教えあっていました。
その中の一人の学生は、TOEICの問題集で覚えた英文を使って、独自の問題を作成してSNSで発信していました。
他の学生やフォロワーと楽しくやり取りをしていて、学習を遊びに変えていたと言えるかもしれません。
社会人の皆さんにとっては、同じ目標を持つ身近な人を見つけることは簡単ではないかもしれません。
ですが、同僚や家族に「英語検定2級を取得する」といった具体的な目標を宣言したり、紙に書いて貼ったりして、他の人の目を意識することも習慣を継続するうえで役立つでしょう。
また、SNSなどで英語学習のサークルをフォローすれば、そこから刺激を受けられるので、習慣化に悩んでいる方はぜひ一度試してみてください。