トヨタがまさかの4位
1位は豊田通商で1180.5万円
今回は、上場企業の有価証券報告書に記載された「平均年間給与」のデータを基に、愛知県に本社がある企業にフォーカスした、「年収が高い会社ランキング2023【愛知県】」をお届けする。対象期間は2022年5月期~23年4月期。平均年収、従業員数、平均年齢は単体ベースで、従業員数100人未満は除外した(その理由は後述)。
それでは早速、ランキングを確認していこう。
1位は豊田通商で、平均年収は1180.5万円。一般的に大手商社の年収は高いことで知られるが、1位となった背景には、23年3月期の同社の業績が絶好調だったこともあるだろう。
具体的には、自動車販売の増加、金属などの市況および欧州電力価格上昇により、売上高が9兆8485億円(前年比22.7%増)、営業利益が3887億円(同32.2%増)、当期利益が2841億円(同27.9%増)だった。
2位はフジミインコーポレーテッドで、平均年収は1086.8万円。同社は、一般的な知名度はあまり高くないが、愛知県が誇る優良企業の一つ。主力商品の半導体シリコンウエハー製造用研磨剤は、世界トップシェアを誇る。
さらに近年は半導体市場の活況を追い風に、業績は右肩上がり。23年3月期は売上高、営業利益、経常利益、当期純利益とも前期に比べて大幅に伸長し、特に売上高当期純利益率は18.1%と過去最高値を更新した。なお、自己資本比率は86.2%と財務も盤石だ。
こうした好調ぶりは平均年収にも反映されていて、「年収が高い企業ランキング2020【愛知県・全100社完全版】」では799.8万円で8位だったのが、翌21年版は854.4万円で4位に、翌22年版は897.6万円で2位と、ランキングを着々と上り詰めている。今回の23年版でついに1000万円の大台を超えたことで、トップの座も見えてきた。
3位はあいちフィナンシャルグループ(FG)で、平均年収は978.3万円。聞き慣れない社名だと思う人もいるだろう。それもそのはず、同社は22年10月3日に設立されたばかり。共に愛知県を地盤とする第二地方銀行の愛知銀行と中京銀行が経営統合してできた金融持ち株会社である。
さて、世界に誇る日本のトップ企業であるトヨタが4位、しかもグループ傘下の豊田通商に平均年収200万円以上も水をあけられていることを、意外に思う人も多いだろう。
従業員数に着目してほしい。トヨタの単体従業員数7万56人は、実は全100社の中でずば抜けて多い。にもかかわらず、ベスト5に入る高年収であることが、トヨタの強さを物語っている。
5位は岡谷鋼機で、平均年収は863.0万円。創業350年以上もの歴史を誇る同社は、名古屋証券取引所のプレミア市場でしか上場していないが、製造業を中心に地元企業と密接な結び付きがある。中部財界で大きな存在感を示していることを詳報した記事『トヨタは高みの見物、半導体イビデン躍進!最新「名古屋財界50社」勢力マップを大公開』を参照してほしい。
それでは次ページ以降、6位以下を一挙に公開する。
最後に、ランキングの「癖」について説明したい。それは、持ち株会社(ホールディングス)と事業会社が混在していることだ。
持ち株会社として上場している企業の中には、経営企画や人事系など、少数の幹部社員だけしか在籍していないところがある。すると、その企業の実態(グループ全体)よりも年収が高く出てしまう恐れが強い。そうした「癖」の影響をなるべく排除するために、従業員が100人未満の会社はランキングから除外した。
一方で、企業の中には、一般社員よりも平均年収が低い契約社員を含めている場合がある。他にも、定年退職者の雇用を積極的に進めている企業や、地方に本社を構える企業も年収が低くなる場合がある。
こうした事情を踏まえて、ランキングを見てほしい。平均年収に合わせて、従業員数も掲載しているのはそのためだ。
(ダイヤモンド編集部 柳澤里佳)