変化が激しく先行き不透明の時代には、私たち一人ひとりの働き方にもバージョンアップが求められる。必要なのは、答えのない時代に素早く成果を出す仕事のやり方。それがアジャイル仕事術である。『超速で成果を出す アジャイル仕事術』(ダイヤモンド社)は、経営共創基盤グループ会長 冨山和彦氏、『地頭力を鍛える』著者 細谷 功氏の2人がW推薦する注目の書。著者は、経営共創基盤(IGPI)共同経営者(パートナー)でIGPIシンガポール取締役CEOを務める坂田幸樹氏。業界という壁がこわれ、ルーチン業務が減り、プロジェクト単位の仕事が圧倒的に増えていくこれからの時代。組織に依存するのではなく、私たち一人ひとりが自立(自律)した真のプロフェッショナルになることが求められる。本連載の特別編として書下ろしの記事をお届けする。

英語は得意なのに「海外で相手にされない人」の残念な特徴とはPhoto: Adobe Stock

流ちょうな英語で話し続けても、相手にされないのは?

 皆さんの周りにも、海外の大学を卒業し、流ちょうな英語を話す人がいるのではないでしょうか。では、その人たちは常に高い評価を得ているでしょうか。もちろん、英語が得意でかつ仕事ができる人もいるでしょう。

 一方で、流ちょうな英語で話し続けるだけで、一向に結果が伴わない人もいるのではないでしょうか。

 これは日本に限った話ではなく、海外でも同様です。私がビジネススクールに通っていたときも、常に話し続ける声の大きな生徒がいましたが、周囲からの尊敬を集めているわけではありませんでした。それよりも、クラスメイトに気づきを与える質問をしたり、全員の意見を受けて新たな観点を提示したりするような生徒の方が一目置かれる存在となっていました。

相手にとって新規性があるかどうかを考える

 私は10年ほど東南アジアで働いており、現地の経営者や政府関係者と定期的に情報交換をしています。そこで聞かれるのは決まって「最近の活動はどう?」という質問です。

 その際に相手にとっても新規性があり、有意義な情報を伝えられるかどうかが重要です。たとえば、「インドネシアで、ある領域への投資が盛り上がっている」「日本の地方都市では、新たな取り組みが始まっている」など、相手に合わせて話題を展開して、メリットを感じてもらうことを念頭に置いて会話を進めています。

 面白い冗談を言って相手を楽しませることや、美味しいレストランの情報を教えることは、友人としては必要かもしれませんが、あくまで相手の大切な時間をもらっている以上、相手のビジネスつながる価値を提供することを意識しましょう。

毎日アウトプットすることで、ユニークネスが出せる

 相手にとって意味のある情報を英語で伝えるには、トレーニングが必要です。まずは、毎日1回でいいので、新聞で読んだ内容などについて、自分なりの意見を交えてアウトプットする練習をしましょう。

 基本になるのは、ある出来事に対して「自分は賛成か反対か、それはなぜか」をいう意見を口にする練習を積むことです。

 たとえば、外国の方に「最近起きたジャニーズ問題についてどう思うか?」と聞かれたときに、グローバルスタンダードに照らしてどうかという客観性に加え、自分の意見をきちんと言えるでしょうか。日本のニュースのコメンテーターが言っていることを復唱するだけでは、相手にはしてもらえないでしょう。

「アジャイル仕事術」では、自分の意見をアウトプットするためのトレーニング方法以外にも、働き方をバージョンアップするための技術をたくさん紹介しています。

坂田幸樹(さかた・こうき)
株式会社経営共創基盤(IGPI)共同経営者(パートナー)、IGPIシンガポール取締役CEO
早稲田大学政治経済学部卒、IEビジネススクール経営学修士(MBA)
大学卒業後、キャップジェミニ・アーンスト&ヤングに入社。その後、日本コカ・コーラ、リヴァンプなどを経て、経営共創基盤(IGPI)に入社。現在はシンガポールを拠点として日本企業や現地企業、政府機関向けのプロジェクトに従事。細谷功氏との共著書に『構想力が劇的に高まる アーキテクト思考』(ダイヤモンド社)がある。『超速で成果を出す アジャイル仕事術』(ダイヤモンド社、2022年6月29日発売)が初の単著。