巨人が快進撃を見せている。77試合を消化した時点で46勝24敗7分の貯金22。シーズン半ばを過ぎたばかりだというのに早くもクライマックスシリーズ進出のマジックナンバー55が点灯した。
勝ち星はもちろん引分け数も12球団トップ。なかなか負けないしぶとい戦いを見せているが、チームカラーもこれまでとは微妙に変わってきている。
大型補強に頼ってきた
かつての巨人の悪イメージ
巨人は豊富な資金力にものを言わせて他球団の主砲を次々と獲得してきた。FAでは落合博満、広澤克実、清原和博、江藤智、小笠原道大(FA以外では小久保裕紀)…、高年俸が原因で所属球団との契約交渉が難航している外国人選手がいれば、すぐに獲得に乗り出し、ペタジーニ、ローズ、李承ヨプ、ラミレスらを入団させた。
毎年のようにそうした大型補強を繰り返すものだから、アンチ巨人派からは「強奪球団」と呼ばれ、巨人ファンからも「4番ばっかり並べてもなあ」と言われてきたものだ。
現在もその選手たちは投打の中心にいる。3番には推定年俸(以下同)3億8千万の小笠原、4番には5億のラミレスが座り、6億の李、2億2千万の谷佳知も控えている。投手陣も先発には2億5千万のグライシンガー、抑えには3億のクルーンがいる。
だが、今の快進撃はそうした他球団から来た高年俸選手に頼ったものではなく、むしろ巨人で育った生え抜き選手の活躍に支えられているといえる。野手では坂本勇人、亀井義行、松本哲也、鈴木尚広、投手では山口鉄也、東野峻、オビスポ、越智大祐らだ。
中でも頑張りが目立つのが山口、松本、オビスポの「育成」から育った選手たちである。
山口は昨年中継ぎで起用され、11勝2敗2セーブという驚異的な活躍を見せた。新人王になりWBCメンバーにも選ばれた「育成の星」だ。今季(7月13日現在)も45試合に登板、7勝1敗3セーブと活躍を続けている。
松本は身長170センチと小柄だが(実際にはもっと低く見える)、外野手としてほぼレギュラーを獲得した。俊足が武器で守備範囲が広くファインプレーを連発、出塁すれば常に次の塁を狙う。また、打撃でも独特の天秤打法でミートに徹し、3割近い高打率を残している。すべてのプレーが抜け目なく、相手チームからすれば最も嫌なタイプの選手だ。