突然の心停止の「前ぶれ」になる症状とは?【男女別】Photo:PIXTA

 日本AED財団によれば、突然の心停止が原因で亡くなる人は年間およそ8.2万人、1日約200人、7分に1人が亡くなっているという。

 心臓突然死の原因の多くは、心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患だ。高齢者に多いことは確かだが、動脈硬化が進むメタボ中高年も決して人ごとではない。

 米国のシダーズ・サイナイ医療センターの研究者らは、突然死を事前に予測する「警告症状」を洗い出すべく、心停止状態で緊急搬送されてきた患者の自覚症状を調べ、その他の理由で搬送されてきた患者と比較した。

 心停止群は、2015年2月1日~21年1月31日に院外で心停止を起こし、救急隊が現場で蘇生を試みた18~85歳の患者1627人のうち、症状の記録がある411人。平均年齢は65.7歳で、125人が女性だった。

 調査の結果、心停止群で有意に多かった症状は呼吸困難で、心停止群41%、対照群は22%、胸痛は同33%と25%、発汗(冷や汗)は、同12%と8%、けいれん発作が同11%と7%だった。

 一方で、吐き気・おう吐、脱力、めまい、腹痛などの腹部症状、動悸は対照群のほうが多かった。

 年齢や性別などで調整した結果、心停止群は、対照群と比較して(1)胸痛、(2)呼吸困難、(3)発汗、(4)けいれん発作との関連がおよそ1.5倍高かった。

 男性は胸痛、呼吸困難、発汗が突然の心停止と有意に関連したのに対し、女性は呼吸困難のみが有意に関連していた。

 研究者は「自覚・他覚症状は単独で存在することが多く、女性は胸痛などのわかりやすい兆候が少ないため、心停止リスクを見逃されやすい」と警告している。

 心臓発作中、つまり心停止に至る前に、病院へアクセスできた人の救命率は心停止後の5倍以上だ。警告症状に気づき、行動できるか否かが生死を分けることもある。

 激しい胸痛、動悸が5~10分続くときは狭心症の可能性が、15分以上は急性心筋梗塞の可能性がある。努力をしても十分な呼吸ができず、息苦しさの発作に襲われたときは、迷わず救急車を呼ぼう。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)