「足のむくみ」放置で突然死の恐れも、危険性を見極める簡単な方法とは写真はイメージです Photo:PIXTA

立ち仕事の人やデスクワーカーを悩ませる足のむくみ。新型コロナの感染拡大により一変した生活では、これまでむくみを感じてこなかった人まで症状を訴えるようになってきているという。放置すると場合によっては突然死を招きかねない足のむくみについて、みなみ野循環器病院理事長の幡芳樹氏に話を聞いた。(清談社 鶉野珠子)

在宅勤務による座りすぎ&運動不足が
足のむくみを引き起こす

「浮腫、つまりむくみを訴える患者さんに対しては、まず内科的な疾患がないかを確認します。血液検査で、浮腫の原因になりうる心臓、肝臓や腎臓、甲状腺の機能を調べる事が可能です。

 心臓に負担がかかると血液検査でNTproBNPやBNP、深部静脈血栓症が疑われればDダイマーが異常値になります。胸部レントゲンからも多くの情報が得られます。Dダイマーが高値であれば、血栓症を有している可能性が高く下肢静脈エコーを行います。血栓があれば肺にも血栓がとんでいないかを肺の造影CT検査で評価します。このような検査で異常がない場合には、リンパ浮腫や廃用による浮腫を考えます」(幡氏、以下同)

 コロナ禍以降に足のむくみを感じるようになった人は、内科的な疾患以外の原因が多いという。

「最大の要因は運動不足です。むくみとは、長時間同じ姿勢を続けて体液の循環が滞ることで引き起こされます。リモートワークが増えて通勤や階段昇降などをしなくなり、自粛ムードで外出頻度も減って、家でじっとしている時間が増えた人は足がむくみやすい状況に陥っています。コロナ禍でむくみの症状が出やすいのは主にふくらはぎですが、『第二の心臓』とも呼ばれるふくらはぎの筋肉がポンプの役割を果たすことで、足の血液を下から上へ押し戻します。ですから、筋肉量が多く運動習慣のある人はむくみにくいため、元々は男性よりも女性に多いトラブルでした。ところが、コロナ前と比べると足のむくみに悩んでいる男性が増えているように感じます」

 ふくらはぎは心臓から遠い位置にあるため血流が悪くなりやすいうえに、重力の関係で水分がたまりやすい部位だ。ただでさえむくみやすい部位を動かす機会が減ってしまえば、問題が生じるのも無理はない。