後悔しない「歯科治療」#16Photo:Photolibrary

この春、にわかに注目を集めることとなった“国民皆歯科健診”。特集『決定版 後悔しない「歯科治療」』(全23回)の#16ではその旗振り役である自由民主党の「国民皆歯科健診実現議連」事務局長、山田宏・参議院議員が登場。皆歯科健診への思いと実現までの工程を熱く語る。(聞き手/ダイヤモンド編集部論説委員 小栗正嗣)

国民皆歯科健診は「国の柱」
国民皆保険制の維持につながる

――国民皆歯科健診実現議連(古屋圭司会長)の事務局長を務め、国民皆歯科健診の旗振り役となっています。皆歯科健診の着想はいつから頭にあったのですか?

 私は2016年7月参議院選挙に立候補したときの私の政策公約の一つが国民皆歯科健診の実現でした。

 歯科健診を年に1回、受けられるような仕組みを作っていくことが、かからなくてもいい病気を減らしていくことにつながる。それは健康寿命を延ばすことよって皆さん個人の人生にプラスになると同時に、国家レベルにおいても1人当たりの医療費が減ることを通じて、世界に冠たる国民皆保険制度を維持していくことにつながる。皆歯科健診を国の柱にしていこうというわけです。

 そもそも歯に強い関心を持ったのは、1999~10年、杉並区長を務めていた時代のことでした。
区長に選出されたとき、杉並区は未曽有の財政危機にあった。さまざまな領域で赤字の退治をしなければいけない。その一つが国民健康保険料の負担でした。

 では、どうすべきか、皆さんの病気がなくなれば、区の支出も減る。勉強してみると、歯の健康が体全体の健康につながるようだと分かってきた。「口は万病のもと」と。

 そこで、当時6%にすぎなかった杉並区の成人歯科健診事業の受診率を何とか15%まで引き上げるなどの取り組みをしてきました。

 その後、16年の参議院選挙で当選の後、11月には自民党の中に歯科口腔医療勉強会を立ち上げました。

 そして、翌年17年には政府の「骨太の方針」の中に歯科が初めて入った。勉強会の要望を安倍晋三元総理に提出すると、安倍元総理が「やろう」と理解し納得してくれた。そこからは、歯科が厚生労働省の一施策ではなく、政府としての関心項目になっていったわけです。

 この勉強会は21年6月、国民皆歯科健診実現議員連盟の立ち上げにつながり、21年10月、岸田文雄政権になって初めての選挙で、自民党の政権公約の中に「生涯を通じた歯科健診の充実(国民皆歯科健診)」が初めて盛り込まれ、さらに22年4月には自民党内に国民皆歯科健診実現プロジェクトチームという検討チーム(古屋圭司座長、山田宏事務局長)が正式に発足しました。

 今度は23年度予算の概算要求で「国民皆歯科健診の具体的検討の推進」の調査費を入れる予定です。党と政府で一体となって、まず国民皆歯科健診の制度設計をしていこうという段階に入っています。

――国民皆歯科健診というのはどういうふうにやるのですか?