薬剤師31万人 薬局6万店の大淘汰#番外編Photo:PIXTA

2022年度診療報酬改定の大枠が定まり、技術料本体部分は医科0.26%増、調剤0.08%増のプラス改定で決着した。今後は点数配分など詰めの議論が進む。とりわけ業界の注目を集めているのは、処方箋再利用を可能にする「リフィル処方」の導入だ。医師会が強硬に反対してきたこの項目はなぜ実現したのか。特集『薬剤師31万人 薬局6万店の大淘汰』の番外編では、22年度診療報酬改定の舞台裏に迫る。(医薬経済社 玉田慎二)

調剤報酬は“なぎ”の改定か
医師会にのませた「リフィル処方」

 2022年度の調剤報酬改定は薬価引き下げ分を除いた技術料本体が0.08%増で決着した。これは総額約2兆円の調剤技術料からすると300億円程度のプラス。全体で見れば微々たる額だ。

 その上で、個別技術料における主なプラス改定の候補項目とマイナス改定の候補項目は下表の通りである。

 ドラッグストアや調剤薬局チェーンの企業群が好調決算を示していたこともあり、当初は「マイナス改定必至」とも指摘されていた。

 ただ、こうした議論を受けての22年度改定は、一部の大手企業にターゲットを絞った調剤基本料の引き下げや後発医薬品調剤体制加算の減額など、ある程度のマイナスも想定される。しかし、こうした項目を過大に引き下げると、逆にプラス改定300億円に大きく財源が上乗せされてしまう。

 プラス改定の候補項目を眺めれば察しがつく通り、膨らんだ財源を使い切るほどの新規の目玉は見当たらない。この国の予算は、決まった財源の枠内で帳尻を合わせる。つまりピンポイントでの大幅マイナスはなさそう、ということ。22年度調剤報酬改定は“なぎ”の改定に終わりそうだ。

 そんな中、薬局・ドラッグストアが歓迎する改定項目が「リフィル処方」の導入だ。21年末の予算折衝最終段階で急転直下、医科の技術料プラスを捻出するために医師会が導入をのみ、明文化された。