歯ブラシ、フロス、歯間ブラシと毎日の歯磨きツールは山ほどあれど、本当に正しく使えているか、“やったつもり”になってはいないか?特集『決定版 後悔しない「歯科治療」』(全23回)の#14では、歯のお手入れの“正解”をお教えしよう。(医学ライター 井手ゆきえ)
虫歯と歯周病のハイリスク世代
40代後半~50代は特に注意を!
今の40代後半~50代は虫歯(う歯)と、「歯の生活習慣病」とも呼ばれる歯周病のハイリスク世代といわれている。
歯科の領域では1970年を挟んだ昭和40年代から50年代にかけて子どもの虫歯が爆発的に増加し、「虫歯の洪水」と呼ばれた時代があった。今は死語になっている「みそっ歯」をからかわれた経験がある人もいるだろう。
その昔、混み合う歯科医院で“15分歯科治療”を受けたこの世代は、永久歯が生えそろった時点ですでに上下左右の第1大臼歯にプラス2、3本、合計5、6本の虫歯があった人が多い。その結果、残った歯に負荷がかかり、早くも40代から歯を喪失したり歯周病の進行スピードが速まるなど「お口の困り事」が増えてくるのだ。
長年、セルフケアにこだわり「歯磨きソムリエ」の異名を持つ歯科医師の高柳篤史氏は、「40、50代はそれ以前の段階で踏みとどまれるか否かのターニングポイントです。セルフケア次第で60代以降の口腔内環境ががらっと変わることに気が付いてほしい」と言う。
歯のセルフケアの道具は、デンタルフロス(フロス)、糸ようじ、歯間ブラシ、歯ブラシと山ほどある。果たして正しく使えているだろうか。フロス大国の米国ですら、「正しくフロッシングできる」人は2割にも満たないという。“正解”を探っていこう。