「エネルギー転換」に現実の厳しさがのしかかっている。複数の洋上風力発電プロジェクトが中止となり、再生可能エネルギー企業の株価は大幅安となっている。米国では電気自動車(EV)需要の低迷を受けて、自動車メーカーがEV計画を縮小している。一方、巨額の利益を上げている石油・ガス企業は大型買収に相次いで乗り出し、化石燃料が廃れるのはまだ先という考えを強力に推し進めている。温暖化ガスの排出量は今年、過去最高を記録すると予想する研究者もいる。「エネルギー転換を簡単に、あるいはすぐに解決できる方法はない」。カナダのパイプライン運営会社TCエナジーの幹部、ジェームズ・ヤードリー氏は先週、ヒューストンで開催されたエネルギー転換会議でこのように語った。エネルギーミックスについての複数の予測では、天然ガス、石油、再生可能エネルギーの「いずれもが2050年まで重要な役割を果たす」と同氏は言う。