『独学大全──絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』著者の読書猿さんが「勉強が続かない」「やる気が出ない」「目標の立て方がわからない」「受験に受かりたい」「英語を学び直したい」……などなど、「具体的な悩み」に回答。今日から役立ち、一生使える方法を紹介していきます。
※質問は、著者の「マシュマロ」宛てにいただいたものを元に、加筆・修正しています。読書猿さんのマシュマロはこちら

勉強が続かない人と勉強が習慣になる人、ちょっとした行動の違いとは?【『独学大全』著者が答える】Photo: Adobe Stock

[質問]
 復習の習慣が身に付かずに困っています。
「復習しやすいように復習内容を振り返れる問題を予め作っておく」や「なるべく振り返りやすいようにノートを取る」という工夫を凝らしてみたのですが、次はその工夫そのものが面倒になりノートを取ること自体が億劫になってしまいました。勉強しても忘れる→忘れないような形にする→勉強自体が面倒に、のループです。

 今は結局「何度も読み返す」という勉強法に落ち着いてしまっています。これが1番継続しやすいのですが流石に費用対効果が悪いのでどうすれば良いかと悩んでいます。

 個人的には振り返りの時間を作る方向で独学を進めていきたいので何か良い方法があれば教えていただければ幸いです。よろしくお願いします…!!

基本戦略は「今自分ができているものを、少しだけ改善する」

[読書猿の回答]
 実際に取り組んだ人だけができる、とても良い質問だと思います。そうです、工夫は基本面倒なのです。凝った工夫は凝る分だけますます面倒になります。
 ここを理解しないとどれだけ良い学習法も絵に描いた餅に終わります。

 どれだけ(短期的な)学習効率が良くても、継続しないなら長期的な学習効率は改善されません。
 何が面倒か、どれだけ面倒に耐えられるかは人によって大きく異なります。これが誰にとっても最適な学習法が存在しない一因です。

 なので基本戦略は「今自分ができているものを、少しだけ改善する」です。
「何度も読み返す」ことができているのなら、これに毛を生えた方法から試してみてはどうでしょうか?

 例えば、前回どこまで読んだところがすぐ分かるように付箋をつけておく程度の面倒ならば継続可能かもしれません。
 ならば付箋を2枚用意して、前回どこからどこまで読んだかを分かるようにします。
 そして前回読んだところをまず読み、その次に新しいところを読むようにします。
 やっていることは「2度読み返す」だけですが、繰り返すタイミングを1日後にしたことで、想起負荷がかかり記憶の定着は改善されます(費用対効果がいくらか高まります)。
 付箋2枚ができるようになったら、付箋の数を増やして行ってもいいでしょう。無理なら付箋の数を減らせばいいだけです。