「私は“育ち”が悪いから…」
そんな悩みに対して納得のアドバイスを出すのは、これまでネット上で若者を中心に1万人以上の悩みを解決してきた精神科医・いっちー氏だ。「モヤモヤがなくなった」「イライラの対処法がわかった」など、感情のコントロール方法をまとめた『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』では、どうすればめんどくさい自分を変えられるかを詳しく説明している。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、考え方次第でラクになれる方法を解説する。(構成/種岡 健)
私は育ちが悪いから
育ちが大事だと言われています。
「私は育ちが悪いから……」と悩む人もいますよね。
たしかに、「育ち」が有効なときがあります。
なぜなら、頭のなかに「感情的になっているあなた」と、「それを見つめている理性的なあなた」がいるからです。
どういうことでしょうか?
頭のなかには、その2つが共存していて、たとえるなら、「感情的で困っているあなた」がいる一方で、それをテレビ番組のワイプのように「観察してくれているあなた」がいます。
この役割を「親」が果たすときがあるんですよね。
それがいわゆる「育ち」だと思います。
宗教が浸透している国では、「神さま」も機能します。いわゆる「お天道様が見ている」というやつですね。
いい教育環境で、「親」や「いい宗教」がうまく機能するように育った人は、心が安定しやすい傾向にあります。
しかし、みんながみんな、そういう恵まれた環境で育つわけではありません。
でも、大丈夫なのです。
人生は「ガチャ」で決まらない
特に、10代の多感なときに、感情的な自分に振り回されて「考え方のクセ」がついてしまうことが多いです。
私がオンラインで相談に乗る若者には、多かれ少なかれ、幼少の頃や思春期に、よくない考え方のクセがついてしまっていることが多いです。
しかし、それは大人になった今、書き換えることができるのです。
これからの人生で、「親から切り離して自分の人生を生きる」という選択ができるのもあなただけなのです。
「親は見捨てられない」という共依存のような感情を持ってしまうこともあるかもしれませんが、親に対する罪悪感よりも、まずは自分が幸せになることが最優先事項です。
人生はガチャの連続ですが、同時に、「タバコを吸わない」という選択によって、あなたが肺がんになる確率を下げられるように、「毎日少しずつ運動をする」という選択によって、あなたがちょっとだけ健康になれるように、選択の連続でもあります。
あなたが選択を続ける限り、「親ガチャ」や「育ち」があなたに与える影響もだんだんと少なくなっていくこともまた事実なのです。
ガチャで諦めるのではなく、あなた自身の考え方を現世のうちに変えましょう。
あなたの人生を決めるのは、あなたが「どこで、誰と、どう生きるか」によって決まるのです。「生き方」はそれほど重大な選択になるのです。
(本稿は、『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』より一部を抜粋・編集したものです)
精神科医いっちー
本名:一林大基(いちばやし・たいき)
世界初のバーチャル精神科医として活動する精神科医。
1987年生まれ。昭和大学附属烏山病院精神科救急病棟にて勤務、論文を多数執筆する。SNSで情報発信をおこないながら「質問箱」にて1万件を超える質問に答え、総フォロワー数は6万人を超える。「少し病んでいるけれど誰にも相談できない」という悩みをメインに、特にSNSをよく利用する多感な時期の10〜20代の若者への情報発信と支援をおこなうことで、多くの反響を得ている。「AERA」への取材に協力やNHKの番組出演などもある。