リーダーになると、やるべき仕事や責任が格段に増える。メンバーの模範として働きつつ、部下の育成や業務管理など、プレーヤー時代とは異なるタスクが数々あるため、はじめは「何から手をつければいいのだろう…」と戸惑ってしまうだろう。
そんな悩めるリーダーたちが「もっと早くこの本に出合いたかった」「刺さりまくった」とこぞって絶賛しているのが、株式会社識学の代表取締役社長・安藤広大氏の著書『リーダーの仮面』だ。シリーズ累計75万部を突破している本書は、2021年、2022年と2年連続で「1番売れたリーダーシップ本」に輝いており、多くの人から「この本は、間違いない」と圧倒的な支持を集めている。
本稿では、本書より一部を抜粋・編集し、「管理職として失格な人」に共通する“たった1つの特徴”をご紹介する。(構成/根本隼)

「管理職として失格な人」に共通する“たった1つの特徴”Photo:Adobe Stock

「自分に利益があるかどうか」で人は動く

 人間は何を基準に動くのでしょうか。行動のきっかけはなんでしょうか。

「楽しいから動く」「気持ちがいいから動く」「安心するから動く」……。いろいろな行動のきっかけがあると思います。

 ただ、突きつめると、行動のきっかけは1つだけです。それは、「自分に利益があるかどうか」です。

 人は自分に利益があると判断したときに動きます。意識的にも無意識的にも、利益があるかどうかを基準にしています。

 人間とは、そもそもそういう生き物です。利益があれば動くそれだけです

 逆に、利益が減ることには「恐怖」を感じます。利益が減ると思えば、減らない方向へと行動をとるはずです。

部下が「ついていきたい」と思うリーダーの特徴

「リーダーについていきたいかどうか」も、すべて「自分にとって利益があるかどうか」で決まります。

 部下がそのリーダーの下にいることが自分にとって「利益」だと判断すれば、「ついていきたい」となります。

「利益にならない」と思えば、いい人であっても、ついていきません。

 本当についていきたいと思われるリーダーは、「利益をもたらしてくれる人」です。仕事に厳しくても、「数年後には成長できるはずだ」と、利益を感じさせることが大事です。

部下の言葉を真に受けるのは「リーダー失格」

 部下は、友達や恋人を探しに会社に来ているわけではありません。ビジネスをしに、稼ぐために来ているのです。

 もしかしたら、部下は口では、「楽しく働ければ、それだけで満足です」「ラクに働ければ、成長しなくてもいいです」と言うかもしれません。

 しかし、その言葉を真に受けてしまっては、リーダー失格です。
 
 本当に楽しいことをやりたいだけなのであれば、それはプライベートで友達や恋人と遊んで楽しんでいるはずです。「ラクに働けるほうがいい」と本心で思っているだけなのであれば、責任の少ないフリーターなどの働き方をしているはずです。

 つまり、どちらもリーダーが考えるべき問題ではありません。それに、部下も本心では「楽しいだけじゃダメ」「ラクなだけじゃダメ」とわかっているはずです。

 人は、つねに言行一致しているわけではありません。本音と建前があります。

 組織に所属している以上、本心では「成長意欲があること」を前提にリーダーはマネジメントし、部下を「使えない社畜」にしないようにすべきです。部下にとっての「利益が何か」を見極めましょう。

(本稿は、『リーダーの仮面』より一部を抜粋・編集したものです)