コロナの感染拡大による在宅勤務や生活スタイルの変化により、20~30代の若い人たちの間で、つみたてNISA口座を開設する動きが急増した。そして、2024年からは新NISAがスタートする。本連載では、新NISAをきっかけに投資や資産形成を始めてみたいという人に向けて、失敗しないためのポイントをわかりやすく解説していく。新NISAはこの9本から選びなさい』(中野晴啓著、ダイヤモンド社)の内容を基に、一部を抜粋して公開する。「新NISAってなに?」というビギナーの人でも大丈夫。基本的なところからわかりやすく説明するので、ぜひ最後までお付き合いください。

新NISAが始まると、今、NISA口座で投資している分は無駄になるの?Photo: Adobe Stock

2023年中に始めたNISAは
無駄にならない

 一般NISAとつみたてNISAが2023年12月末で終了になる、などと言うと、恐らく早とちりの人は「今、NISAの口座で投資している分が無駄になるの?」などと思ってしまうかもしれませんね。

 でも、大丈夫です。

 一般NISAの2023年分の口座で購入した分は、5年の非課税期間が終了する2027年まで運用でき、その間に発生した値上がり益、配当金、分配金については非課税になります。

 また、つみたてNISAの口座で2023年中に積み立てた分についても、非課税期間は20年間なので、それが終わる2042年まで非課税で運用できます。ということは、2023年中に両NISAで投資をスタートさせた分は、一般NISAであれば新NISAの非課税枠に120万円を上乗せした額まで、非課税枠を増やすことができます。

 また、つみたてNISAは、いつから積立投資をスタートさせたかによりますが、たとえば2023年1月から始めたのであれば、新NISAの非課税枠に40万円を上乗せした額が、最終的な非課税額になります。

 なので、2023年中に投資を始めた一般NISA、つみたてNISAが無駄になるのではなく、2023年中に投資した金額は、それぞれの非課税期間が終了するまで、新NISAとは別枠で管理・運用できるのです。したがって、少しでも非課税枠を増やしたいという方は、2023年中に両NISAのいずれかを始めるといいでしょう。

中野 晴啓(なかの・はるひろ)
なかのアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長
1987年明治大学商学部卒業。セゾングループの金融子会社にて債券ポートフォリオを中心に資金運用業務に従事した後、2006年セゾン投信株式会社を設立。2007年4月代表取締役社長、2020年6月代表取締役会長CEOに就任、2023年6月に退任。
2023年9月1日なかのアセットマネジメントを設立。
全国各地で講演やセミナーを行い、社会を元気にする活動とともに、積み立てによる資産形成を広く説き「つみたて王子」と呼ばれる。公益社団法人経済同友会幹事他、投資信託協会副会長、金融審議会市場ワーキング・グループ委員等を歴任。
著書に『最新版 つみたてNISAはこの9本から選びなさい』(ダイヤモンド社)他多数。