ヘンリー・キッシンジャー氏は最近の友人たちとの夕食会で、いつものように主催者にいざなわれ、世界のさまざまな危機について熱弁を振るっていた。その時、あなたの楽観論の根拠は何かと尋ねられた。キッシンジャー氏は、現時点では米国の指導力不足を懸念しているが、米国民の知恵を信頼していると答えた。この発言は、政治的現実主義の気質を備えた米国へのキッシンジャー氏の揺るぎない信念と、国を導く上で指導者に不可欠な役割に対する同氏の考えを反映したものだった。米国は幼少時のキッシンジャー氏をナチスドイツから避難民として受け入れ、米国で最も偉大な指導者の一人となるチャンスを与えた。29日に100歳で死去したキッシンジャー氏は、国際政治に関して類いまれな功績と戦略的洞察力という遺産を残した。