ヘンリー・キッシンジャー氏は、その生涯を閉じる最後の数週間まで米中の交流に影響を与え続けた。キッシンジャー氏が11月29日に100歳で死去したことを受け、半世紀以上前に米国務長官として北京を極秘訪問し、1972年のリチャード・ニクソン米大統領(当時)による極めて重要な訪中や、それを受けた米中国交正常化への道筋をつけた同氏を振り返る動きが両国で見られた。キッシンジャー氏が特異な役割を主に担っていた中国では、そうした回想はとりわけ好意的なものだった。同氏は毛沢東時代から一貫して中国の最高指導者たちとの接触を許された唯一の米国人だった。キッシンジャー氏は長年にわたり、「権力の回廊」をうまくかじ取りする能力を生かし、自らの富を築くとともに影響力を維持してきた。中国は訃報を受け、同氏の訪中回数は100回を超えていたと速報した。また、その多くは地味なものだったが、歴代の中国首脳は同氏の訪中を利用して、米政府との対話に関心があるというシグナルを送ってきたと伝えた。