歩道を正確に検知して速度制限できるのであれば、将来的には走行場所に応じて車両区分が変化するモビリティも実現可能かもしれない。そんな期待を抱かせてくれたニュースだった。

オランダのVanMoofの発表も興味深かった。同社は先進的な技術を取り入れた独創的な電動バイクを販売している。例えば一定速度に達すると自動的に変速する世界初のオートマチック電動シフターを導入したり、スマホと連携して自転車の設定を変えられたりするといった具合だ。

そんなVanMoofが10月に発表したのは、最高時速50キロメートルという高速電動バイク「VanMoof V」だ。前後にサスペンションを装備し、前後両輪駆動で走行する。価格は45万円で、2022年末まで(日本は2023年)の発送を予定している。

VanMoofの「VanMoof V」 VanMoofのプレスリリースより
VanMoofの「VanMoof V」 VanMoofのプレスリリースより

もちろん世界を見渡しても時速50キロメートルの「自転車」が走行可能な場所はなく、ほとんどの場所で最高速度は25-32キロメートル程度に制限されている。それでもあえて同社がこの製品を発表したのは、クルマやバイクを完全に電動バイクに置き換えようと、本気で考えているからだ。具体的な製品という形でソリューションを提示しつつ、政府や議員に規制のアップデートを働きかけていくという。

2022年以降は都市部でクルマからパーソナルモビリティへの移行が加速

さて、2022年はパーソナルモビリティにとってどんな年になるのだろうか。まず注目は、電動キックボードの扱いについて。鍵となるのは、警察庁が設置した「多様な交通主体の交通ルール等の在り方に関する有識者検討会」だ。電動キックボードや自動配送ロボットなど多様な交通主体が登場していることを受け、今後の交通ルールの在り方を検討してきた。

年の瀬も押し迫った2021年12月23日、同有識者会議が最終報告を出した。報告書は小型電動モビリティを(1)時速6キロメートルまでの「歩道走行車」、(2)時速20キロメートルまでの「小型低速車」、(3)それ以上の速度の「原動機付自転車」に分類することを提案している。WHILLの電動車いすやトヨタのC+walk、自動配送ロボットなどは「歩道走行車」となり、時速20キロメートルまでの電動キックボードは「小型低速車」に入るというもの。

最終報告書では電動キックボードは運転免許不要で、ヘルメット着用も努力義務とされた。これは海外から訪れる観光客の利用も見込んでのことだろう。最高時速は中間報告の時速15キロメートルから引き上げられ、時速20キロメートルとされた。これはドイツと同水準で、国内の電動アシスト自転車のアシスト上限である時速24キロメートルよりは遅い。