Luupは現在、東京23区、横浜市、大阪市、京都市の一部で電動キックボードを展開。10月には東京海上との協業を発表し、各地で安全講習会を開催するなど、電動キックボードの普及を目指して積極的に動いている。2022年も、日本の電動キックボードシェアリングサービスをけん引する存在として、目が離せない存在だ。

世界最大手の一角「BIRD」が10月に日本上陸したのも印象的な出来事だった。世界28カ国、300都市以上でサービス展開する同社が日本に上陸するとなれば、いよいよ日本でも電動キックボードが本格的に根付くかもしれない、と期待が高まる。BIRDの強みは、その先進的なテクノロジー。たとえばGPS情報をもとに、幼稚園や小学校近辺など特定エリア内で最高速を制限するしくみを導入している。同社は、まず東京・立川市でサービスを開始し、5年後には全国で2万台規模の展開を目指す。

注意したいのは、現状、「ヘルメットなし」が認められているのは、あくまで特定のシェアリング事業者が提供している電動キックボードだけだということ。個人で購入する電動キックボードは、従来同様「原動機付自転車」の扱いとなるため、引き続きヘルメット着用・ナンバープレート装着・自賠責保険への加入・免許携帯などが義務付けられる。もちろん歩道走行はNGだ。

これを知らずに走り回る「野良電動キックボード」が増えたこともあり、事故件数が急増。メディアが取り上げる機会も飛躍的に増え、警察も取り締まりに本腰を入れはじめた。良くも悪くも電動キックボードが注目を集めた1年だった。

日本初「バイクと自転車を切り替えられるモビリティ」が登場

他にも注目のニュースがある。そのひとつが、glafitの「モビチェン」だ。同社は自転車型の電動バイク「GFR」シリーズを販売している。ペダルをこがなくてもモーター走行ができるため、電動アシスト自転車ではなく「原動機付自転車」と位置づけられている。

このGFR、電源を切ってしまえば、その構造は自転車と何ら変わりはない。ところが原動機付自転車扱いであるため、ペダル走行の場合でもバイク用ヘルメット着用が義務づけられ、自転車レーンを走ることもできなかった。幹線道路などでは自転車の速度で車道を走ることを余儀なくされ、かえって危険なケースもある。

そこで同社は、「電源をオフにしたときは自転車扱い」と認められるよう取り組みを重ねた。ナンバープレートをカバーする(自転車モード)と電源をオフ、ナンバープレートを表示する(原動機付き自転車モード)と電源をオンにする専用オプションの「モビチェン」を開発した。自転車モードでの安全性を証明すべく和歌山市で実証実験も行い、見事警察庁に認められた。7月に警察庁から通達が発出されたことで、日本初の2つの車両区分(原動機付自転車と自転車)を切り替えられる乗りものが誕生した。