説明会では、法人向け即時配送プラットフォーム「Wolt Drive」の運用開始も発表された。これはWoltのアプリやウェブサイトに店舗ページを開設することなくWoltの配達システムを利用可能にするというもので、事業者は、専用管理ポータル「Drive UI」かAPI連携可能な「Drive API」により連携できる。Drive UIの場合はDrive UIのウェブを通じてWoltに配送を依頼でき、Drive APIでは、事業者自身のサイトと連携可能となる。Woltは、Shopifyなど複数のEコマースプラットフォーム向けのプラグイン開発を開始しており、日本市場でもサービスを提供予定だという。

また、Wolt Driveでは診療所向けにオンライン診療システムを提供するスタートアップのメディカルノートと連携し、処方薬を30分程度で配送するサービスを、4月14日より実証実験という立て付けで開始した。

競争激化するQコマース日本市場、Woltの戦略とは

世界では、米Gopuff、ドイツのGorillasやFlink、トルコのGetir(ゲッティアー)といったユニコーンが存在するQコマース市場。

日本国内でも大手フードデリバリー事業者やスタートアップなどが参入し、サービスを開始している。2022年1月、Zホールディングスグループが「Yahoo!マート by ASKUL」を通じ本格的にQコマース事業を開始。また2月には、カクヤスがQコマース新ブランド「カクヤスEXPRESS」を出前館にトライアル出店した。

また韓国のEC大手Coupangも2021年6月から日本でサービスを展開。都内一部エリア(品川区・大田区・目黒区・渋谷区)において、食品・日用品を最短10分で配送する。

多くの競合が存在する中で、Woltの強みとは何か。同社の戦略は、従来通り、地元の名品など地域色の強い商品や希少性の高い商品も重視した品揃え、チャットサポート、交通ルール厳守などを含む適性テストに合格した配達パートナーによって顧客満足度を高めるというものだ。

なお、フードデリバリー大手の米DoorDashがWoltの買収を2021年11月に発表しており、2022年上半期予定に買収完了となっているが、今回の説明会ではこれに伴う動向は明らかにされなかった。

Wolt Japan リテール事業本部長の髙木慶太氏は、発表会において「『WoltといえばQコマース、QコマースといえばWolt』という存在」を目指しており、「2022年は日本のQコマース元年と考えている」といった旨を述べていた。ただし全国展開の完了など、その夜明けを迎えるまでには、もう少し時間がかかりそうだ。