「都市鉱山!?」
2017年夏、ウェブメディアでたまたまこの言葉を目にした青山明弘は、気になって意味を検索した。都市鉱山とは、オフィスや家庭に眠るパソコンなどの小型家電に含まれる金、銀、銅、白金、コバルトなど有用な金属を指す。日本における埋蔵量は、世界の資源大国に勝るとも劣らないと言われている。
その頃、青山はある「目的」を果たすために起業することを決めたものの、その手段としてなにをしようか迷っていた時期だった。
目的とは、「日本で難民申請している人たちが働ける場所を作る」こと。そのために、ゲストハウスや飲食店の経営、中古自転車や農業機械の修理と輸出などさまざまな事業を検討したが、調べたところすでに競合がひしめきあっていたり、十分な人件費を確保するのが難しかったりして、これぞというものが見つかっていなかった。
そのタイミングで「都市鉱山」という言葉に興味を引かれた青山は、詳しく調べてみた。すると、当時の日本では年間1000万台ほど新品のパソコンが販売されている一方で、廃棄されているパソコンは年間300万台に過ぎないとわかった。