「プレシード」「ポストシード」「プレシリーズA」「プレシリーズB」……スタートアップの資金調達フェーズは日本でも近年、細分化する傾向にある。その背景には何があるのか。
今回は、本連載の前回記事(「シリーズ」「ラウンド」「優先株」──今さら聞けないスタートアップの資金調達用語)に続き、スタートアップの資金調達フェーズについて見ていこう。
シード以前=プレシードのスタートアップに対して高まる投資意欲
前記事で紹介したとおり、投資家がスタートアップに投資を行う資金調達ラウンド(投資ラウンド)において、発行される株式は通常、ラウンドごとの種類株式になっている。シリーズAラウンドで発行される株式はA種優先株式、シリーズBラウンドではB種優先株式といった具合で、それぞれ定款や投資契約書により、どのような権利が付与され、制限されているかが規定される。
各ラウンドにおける資金調達の目的や、金額、投資家の特徴は少しずつ変わる。したがって、スタートアップの成長度合いに応じて、ラウンドも投資家の顔ぶれも少しずつ変わっていくということになる。
その資金調達ラウンドの細分化が最近、日本でも進んでいる。調達ラウンドの細分化は、シリコンバレーではかなり以前から見られた現象だが、日本でもシード前の「プレシード」、シード後の「ポストシード」やシリーズA前の「プレシリーズA」などといったラウンドが実際に登場している。