自分以外のユーザーと商品を共同購入することで、格安価格で買い物ができる“シェア買い”アプリ「カウシェ」が好調だ。5月の流通取引総額(GMV)は、前年同月と比較して12倍にまで拡大。ダウンロード数も、2021年末時点の約40万件から、2022年5月末までに70万件以上にまで増加した。
現在は、カウシェをプラットフォームとして活用し、月に1000万円以上を売り上げる事業者も複数出てきたという。何がユーザーや出店事業者に評価されているのだろうか。飛躍的な成長の背景や今後の事業計画について、カウシェ代表取締役CEOの門奈剣平氏に話を聞いた。
ネットではまだ珍しい「誰かと一緒に買い物を楽しむ」設計でヒット
カウシェは、中国で巨人アリババに迫る勢いで急成長するECプラットフォーム「拼多多(ピンドゥオドゥオ)」の“日本版”とも言えるショッピングアプリだ。Amazon.co.jpや楽天市場をはじめとする既存のECサイト・マーケットプレイスとは異なり、ユーザーは自分1人だけでは商品を購入できない。家族や友人、他のネットユーザーとの共同購入が必須となるが、その分お得な価格で商品を手に入れられる。例えば、売れ筋商品である炭酸水(500ミリリットルのペットボトル24本)は、1人での購入を想定した参考価格が1630円だ。だが2人以上で共同購入すると22%オフの1263円になる。
共同購入が必須なため、カウシェのユーザーはTwitter、Instagram、LINEといったSNS、またはカウシェ内にある「シェア買い」タブで共同購入者を募る。門奈氏によると、単に商品が安いだけでなく「まだネットでは珍しい、誰かと一緒に買い物を楽しむ」設計がユーザーに好評で、GMVやダウンロード数の急成長に繋がっているという。
また、カウシェでは、数量限定の特価商品を紹介する「超シェア買いセール特集」、期間限定商品を並べる「タイムセール」、最大2000人による共同購入が必要となる「超大人数シェア買い」といった企画が好調で、高いリピート率を保っている。門奈氏は、カウシェで商品を購入したユーザーの実に半数ほどが、翌週にも同商品または別の商品を購入していると説明する。