DAOの稼働がこれだけ簡単だと知ると、余計にそのDAOの中身やミッションが重要だということを多くの読者に理解いただけると思っている。
つまりは、「DAOを立ち上げます!」と言ってもそれは単にシステムの稼働に過ぎず、DAOに関心を持っている、DAOに入りたい、興味がある人々が求めているのは「なぜそのDAOに関わりたいのか」といったことや、「そのDAOで自分は何の価値や役を持ち寄って、どうやってDAOの目的に近づけられるのか、貢献できるのだろうか」といったより本質的な側面なのである。
DAOの内部コミュニケーション
ここまで解説したが、DAOの多くでDiscord といったチャットツールや、より掲示板形式の「フォーラム」と呼ばれる箇所で議論が行われている。
それでは、そのフォーラムを1つ覗いてみよう。
次の画像はDeFi大手のCompound(コンパウンド)のフォーラムである。右側の数字は左から返信数、ビュー数、更新時刻(からどれくらい経過したか)を示している。
これを見ると明らかなように、7つのトピックが直近DAO内で議論されているのである。
もちろん提案だけして、その後反応がないものや、アイデア止まりになってしまうもの、「この方法はDAOにとってよくないのでやめよう」といった意思決定がされている。
このようにDAOの内部では、DAOをいかによくしていくかといった議論や提案がボトムアップで常に繰り広げられている。
それらをどのように決めていくか、何を軸にして判断していくかはDAOの内部で構築されてきたカルチャーや、DAOのミッションによって定まっている。
DAO内での意思決定のスピード感は企業の取締役会などといった既存の意思決定のスピードを遥かに凌駕(りょうが)している。
このようなスピード感は、オンラインで結びついているDAOメンバーそれぞれが1カ所のタイムゾーンに縛られることなく議論ができていること、またさまざまな角度から議題が適宜出されていることなどを象徴している。
まさに新しい時代の、グローバル組織・グループの活動の新しい形に相応しいのではないだろうか。
DAOの乗っ取り
株式会社では、株式が特定の投資家などに意図して買い占められてしまうことで、本来経営権を持っておくべき社長がガバナンスをコントロールできないような現象が時折発生する。
DAOでも乗っ取りを画策する動きが顕在化してきている。DAOへの意図的な乗っ取り手法としては、マーケットからの大量のトークンの購入が挙げられる。