• 投資対象国 : インド太平洋エリア(インド・東南アジア・日本・北米)
  • 投資ステージ : シリーズA、B前後を中心にシード期からグロース期まで
  • 投資金額 : 1社あたり1〜3億円中心(状況とステージに応じて500万円から5億円まで対応)
  • 投資社数 : 目安は30〜50社
  • 投資テーマ : FinTech分野、GX(脱炭素/ESG テック)中心にインパクト投資、DX領域など

FinTech×クロスボーダーを軸に投資を拡大、14社のユニコーンが誕生

シンガポール最大のBNPL(後払い決済サービス)企業FinAccel、インドネシア版StripeのXendit、インドの急成長決済スタートアップRazorpay──。

GMO VenturePartnersが投資を実行し、未上場段階で評価額が10億ドルを超えたユニコーン企業は14社にのぼる。その中の9社はシードやシリーズAラウンドといった早い段階から事業の可能性に注目し、投資をしてきた会社だ。

  • Coda Payments(シンガポール / ゲーム特化決済)
  • FinAccel(シンガポール / BNPL)
  • Trusty Cars(シンガポール / マーケットプレイス)
  • Carousell(シンガポール / マーケットプレイス)
  • Xendit(インドネシア / 決済)
  • Razorpay(インド / 決済)
  • Side(アメリカ / 不動産FinTech)
  • Fundbox(アメリカ / インボイスファイナンス)
  • DailyPay(アメリカ / 給与早期払い)
  • Qihoo 360 Technology (中国 / セキュリティ)
  • メルカリ (日本 / マーケットプレイス)
  • Sansan (日本 / SaaS)
  • スマートニュース(日本 / メディア)
  • 社名非公開のアメリカ企業(分野特化型BNPL)

冒頭で触れた通り同社では、これまで6本のファンドを通じて総額約170億円を運用してきた。上記のユニコーンを代表するように大きな成長を遂げる投資先が生まれたことで、回収期に入っている合計約100億円相当分についてはすでに250億円以上を現金で回収済み。さらに300億円以上の含み益がある状況だという。

特に目立つのがFinTech関連の投資先の成長だ。「通常VCファンドはテクノロジーやインターネットという大きな枠は設定しても、FinTechのように具体的な領域まで対象を絞ることはあまりしない」(村松氏)中で、GMO VenturePartnersでは領域を絞り込むことで成果を残してきた。

たとえば現在ユニコーンに成長しているFinAccelやRazorpayは評価額が数億円の頃に出資をしたスタートアップだ。GMO VenturePartnersが約10年前に立ち上げたアジアの決済領域特化のGlobal Payment Fund(約20億円規模)からも、このファンドのみでユニコーンが数社誕生。投資時に比べて時価総額が約300倍に拡大した投資先も存在する。

背景にあるのは「領域特化」「クロスボーダー」といった、従来は「タブーとされることもあり、比較的珍しかった」(村松氏)ファンドの戦略だ。

「同じ領域の場合、(国を超えて)成功パターンや法則が似通ってくる側面があります。たとえばアメリカでBNPLの市場が盛り上がってくると、その次に同じような事業がインドや東南アジアにも広がっていく。タイムマシンモデルとも言われるような構造です。FinTechの領域を横串で見ていくことで、成長するための重要なポイントがわかった状態からスタートできます。そのためデューデリジェンスをショートカットできますし、各社の事業についてもより深く理解しやすいです」(村松氏)

法規制や既存のインフラなど国ごとに違いはあれど、“お金”や“金融”自体はグローバルで共通する概念だ。「与信(クレジットギャップ)」を始めとしたFinTechスタートアップが解決しようとしている大きな課題も「万国共通のもの」(村松氏)だという。