倒産危険度ランキング2024&初公開!企業を倒産させた金融機関ランキング#4Photo:amtitus/gettyimages
日産自動車が、経営難に陥っていた自動車内装大手の河西工業を資金支援することが明らかになりました。同社の苦境についてはダイヤモンド編集部もしばしば報じてきました。特集『倒産危険度ランキング2024』から、1月25日に公開した記事をもう一度、紹介します。※全ての内容は初出時のまま

新型コロナウイルスの感染拡大や半導体不足による生産減からの反動に加え、劇的な円安が追い風となって軒並み好業績をたたき出す自動車メーカー。しかし、倒産危険度で測ってみると、業界の好調さとは裏腹に安泰とはいえない企業もある。自動車業界の倒産危険度ランキングでは、「第二のマレリ」と称される河西工業だけでなく超大手の日産自動車などもランクイン。特集『倒産危険度ランキング2024&初公開!企業を倒産させた金融機関ランキング』の#4では、自動車業界で“危険水域”に入った24社の顔触れを見ていこう。(ダイヤモンド編集部 山本 輝)

河西工業が2位にランクイン
日産系サプライヤーが不振

「第二の“マレリ”となってしまうのか」――。市場関係者からそんな懸念の声が上がるのが、自動車内装大手の河西工業だ。

 河西工業の経営は極めて厳しい状況にある。2020年3月期以降、4期連続で最終赤字を計上。自己資本比率は23年3月期末で7.7%と低空飛行を続けるなど、財務状態はおぼつかない。

 資金繰りも綱渡りだ。河西工業は22年5月以降、メインバンクであるりそな銀行らからシンジケートローンとコミットメントラインで総額378億円の融資を受けているが、これまで複数回にわたって返済期日の延長を繰り返している。

 シンジケートローンについては、純資産の維持を求める財務制限条項にすでに抵触しており“レッドカード”状態。このリスクは、有価証券報告書の継続企業の前提に関する重要事象等にも記載されている。

 そもそも、同社の業績悪化は、販売高の約半数を依存する日産自動車の不振が続いてきたことが大きい。

 ここ数年、コロナ禍による需要減や半導体不足から減産を余儀なくされてきたことに加え、過去の過剰投資による負担で、日産は業績の低迷が続いてきた。24年3月期はそれらの反動や歴史的な円安が追い風となって業績が上向いているものの、中国市場の低迷といった不安要素も残り、回復は本調子とはいえない。

「日産は普段から販売台数の見通しが甘く、系列サプライヤーにとっては負担となっていた。日産自身の業績悪化もあり、日産依存度が高い企業は軒並み苦戦している」(自動車メーカー関係者)

 そうしたことから、河西工業を、同じく日産系の大手サプライヤーで22年に民事再生法の適用を申請したマレリホールディングスと重ねてみる向きは多い。負債総額1兆円を超えるマレリの破綻は、当時製造業として最大の倒産案件となり金融機関を騒然とさせた。

 河西工業が上半期決算で発表した24年3月期の通期見通しは、売上高が前期比14%増の2000億円、営業利益は10億円の黒字と、20年3月期以来の黒字を見込む。ただし、最終損益は構造改革費用の計上などにより10億円の赤字で、正念場が続いている。

 自動車産業全体を見ると、トヨタ自動車、ホンダ、スズキなど複数の自動車メーカーが24年3月期に最高益を更新する見通しで、コロナ禍の不振から一転して明るい兆しが見え始めている。しかし、原材料の高騰や中国市場の変調のほか、EV(電気自動車)という一大トレンドが内燃機関関連のサプライヤーを追い詰めるなど、安穏とはしていられない。

 今回、ダイヤモンド編集部では自動車業界の倒産危険度ランキングを作成した。その結果、24社が“危険水域”に入っていることが判明した。

 経営危機にある河西工業は2位にランクイン。同社を差し置いて1位にランクインした企業はどこなのか。次ページで、ワースト企業の顔触れを見ていこう。