税制優遇制度として「NISA」と並んで語られることの多い「iDeCo(確定拠出年金)」。同じ制度なのだから、メリットやデメリットも同じかといえば、まったく性質が異なる制度だという。2022年に行われた制度改正の内容を踏まえながら、経済アナリストの著者が詳しく解説する。※本稿は、森永康平『新NISA対応版 いちばんカンタンつみたて投資の教科書』(あさ出版)の一部を抜粋・編集したものです。
「iDeCo(確定拠出年金)」は
自らの努力で老後に備える年金制度
自分で積み立てる年金税制優遇が受けられる制度には、NISAとiDeCoがあります。ただこれは、NISAなどとは性質が異なるものです。
iDeCoは2022年に制度が改正されましたので、この点も併せてお知らせしながら制度の内容について詳しく見ていくことにしましょう。
iDeCoは正式名称を「個人型確定拠出年金」と言います。
超高齢化社会の到来に加え、ゼロ金利政策が今後も続くことが確実な中で、セカンドライフを送るに当たり、公的年金だけでは心もとないのが現状です。そのため、年金(国民年金、企業年金、厚生年金など)に上乗せする年金を自分自身で作る努力をしてくださいというのがiDeCoなのです。
要は、「国は、財政状況が厳しくてこれ以上面倒をみることができないから、その分は各自で備えてね」という話なのですが、「その分、税制を優遇しますよ」となっているわけです。そのため、掛金を自分自身で運用しながら積み立て、原則60歳以降に受け取るというiDeCoはいくら積み立てるか、どんな金融商品で運用するか、どのように受け取るかなど、全て自分自身で決めることができる制度となっています。
「掛金」は月額5000円から1000円単位で選ぶことができます。掛金は年1回変更が可能で、65歳まで積み立てることができます(運用は最長75歳になるまで可能)。2018年1月からは、年単位などで掛金を支払うことが可能となりました。ボーナス時にまとめて拠出するなど、ライフプランに合わせた拠出ができるようになったわけです。
iDeCoは自営業者、会社員や専業主婦など、20歳以上60歳未満の人であれば、ほぼ全員が加入できます。また、2022年からはiDeCoに加入できる年齢の要件が拡大されています。これによって、以下の人が、新たにiDeCoに加入できるようになりました。
・会社員・公務員など(国民年金第2号被保険者)で60歳以上65歳未満の人(公的年金の加入期間が120月に満たない等、国民年金第2号被保険者であれば65歳以上も加入できる)
・国民年金に任意加入している60歳以上65歳未満の人
・国民年金に任意加入している海外居住の人