参考までに、2021年の米国ゲームソフト売上ランキングを見てほしい(北米のゲームソフト売上ランキング2021。Gamesindustry.biz調べ)

北米ソフト売上トップ10/2021

1 Call of Duty: Vanguard

2 Call of Duty: Black Ops: Cold War

3 Madden NFL 22

4 Pokemon: Brilliant Diamond/Shining Pearl

5 Battlefield 2042

6 Marvel's Spider-Man: Miles Morales

7 Mario Kart 8

8 Resident Evil: Village

9 MLB: The Show 21

10 Super Mario 3D World

年間売上トップ10のうち、1〜2位と5位がFPSだ。基本無料のPCゲームでもFPS/TPSの人気は変わらない。

一方、日本市場に目を向けてみると、2021年のゲームソフト売上ランキング(ファミ通調べ。パッケージ版の販売数のみ)では、FPS/TPSは16位のスプラトゥーン2を除くと、世界的大ヒットを記録している『Far Cry 6』が68位(5.7万本)。同じく『コール オブ デューティ ヴァンガード』が70位(5.5万本)と、日米間でのFPS/TPSに関する温度感の差を見せつけられる。『コールオブデューティ』シリーズのメーカーであるアクティビジョン・ブリザードをマイクロソフトが買収すると発表した際、北米では大騒ぎになっていたのに、日本国内ではあまり話題にあがらなかったのは、この温度感のせいだろう。

日米でこれほどまでに人気の差が出ている背景には、米国における銃器の身近さや戦争に介入してきた歴史なども影響しているかもしれない。一方で日本では銃器を持つのは警察官くらいで、ゲームとはいえ「人間を射殺する」行為に抵抗がある人も少なくない。こうした背景から、ゲームのシステムとしては魅力があっても、日本ではファンの絶対数が少なく、オリジナルのTPS/FPSがヒットすることはなかった。しかし、そんな状況を覆したのがスプラトゥーンだったのである。

任天堂が考える「オンライン対戦」と「プレーヤーへの配慮」

FPS/TPSのゲームとしての魅力は証明されていながら、現実(または近未来)の銃器を用いて相手を射殺する残虐表現のために敬遠する人が多いことに加えて、参加者同士の通信対戦なので、新規ユーザーが始めようとしても敗北が続くと嫌気が差してしまい、すぐに止めてしまうというリスクもある。この件については、任天堂の故・岩田取締役社長が『大乱闘スマッシュブラザーズX』の対談(社長が訊く『大乱闘スマッシュブラザーズX』Vol.3)で語った言葉を引用させていただく。