「バクラク」ブランドで経費精算や請求書管理など複数のSaaSや法人カードなどを展開するLayerXは2月28日、約55億円の資金調達を実施したことを明らかにした。本調達はシリーズAのファーストクローズという立て付けで、今後も同ラウンドでの資金調達を進める計画。三井物産をはじめ、ANRI、ALL STAR SAAS FUND、GMO VenturePartners、ジャフコ グループ、Spiral Capital、Z Venture Capital、Dawn Capital、BRICKS FUND TOKYO(三菱地所)、三菱UFJキャピタルが引き受けを担当する。本ファイナンス実施時点での評価額は338億円(フォースタートアップス「STARTUP DB」調べ)。
LayerXは2018年8月にGunosyとAnyPayの合弁会社として設立。2019年7月にGunosy創業者の福島良典氏がMBOするかたちで独立した。当初はブロックチェーン関連の開発などを手がけていた。
現在は前述の「バクラク」ブランドで複数のSaaSを展開するほか、三井物産との合弁会社であるアセットマネジメント会社の運営、プライバシー保護技術「Anonify」をもとにしたPrivacyTech領域の事業を展開する。同社の発表によると、バクラクシリーズはサービス開始から2年で3000社以上が導入。当初は東京を中心とした関東圏で顧客を拡大してきたが、現在は地方都市などでの導入も拡大しているという。先日、福岡拠点のプロサッカークラブ・アビスパ福岡とのパートナー契約の締結も発表した。
LayerXでは今回の資金調達をもとに採用を拡大する。2025年度に現在(約160人)の3倍強にあたる従業員500人体制を目指す計画だ。新卒採用を強化し、2024年4月には20人の採用を想定する。また地方展開の強化に向け、今春をめどに地方拠点の立ち上げも準備する。
最近SaaS領域では「コンパウンドスタートアップ」という概念に話題が集まることが多い。これは単一のプロダクトではなく、1つのデータを基軸に複数のプロダクトを展開するスタートアップを指す言葉だ。