産業革新投資機構の大型投資

10月以降、産業革新投資機構(JIC)が1200億円のVCファンドを開始し、JIC経由で数十億円単位という巨額の資金調達を実現しているスタートアップが多数現れました。JICによる数十億円規模での出資は、来年以降も続くと考えています。巨額の増資により、大きな経営資源を手に入れるスタートアップが増えると思っています。

ヘルスケア、宇宙、社会インフラが直近のトピックに

2021年以降に盛り上がりが予想される領域は、国内で2つあると認識しています。

1つめは、これまでは国や大企業やサービスや商品を提供していた領域です。具体的にはヘルスケアと宇宙。規制緩和や提供するサービス・商品の進化により、新たに民間市場が形成されていくと考えています 付き合いのある顧客候補やプレーヤーとのやり取りから、そうした潮流を肌で感じています。

2つめは、社会インフラの領域です。例えば昭和に整備された道路や橋、都市のインフラは経年利用により修繕や入れ替えが必要になりつつあります。しかも生活に直結するため、必ず対応が求められます。市場規模も橋の点検・補修だけでも数十兆円と大きいので、自治体などと連携して事業を進められるスタートアップは大きく成長していくと思っています。

また長期トレンドも大きく2つ想定されます。

1つめは、一度経営から離れた人が、MBOを行って再度スタートアップとして事業にトライする傾向が増えていくことが考えられます。アメリカでは、大企業やスタートアップから省庁、投資家からスタートアップ経営など「業態またぎの人材の還流」が進んでおり、日本でもそうした人材還流が長期的にはどんどん増えていくはずです。

2つめは、「SDGs」です。SDGsに即した投資や、SDGs関連スタートアップが増加すると考えています。3年ほど前から、大きなキャッシュを持っている機関投資家がSGDsの視点での投資を世界的に増やしており、近年は「SDGsに即しているか否か」で投資判断が変わる傾向すら感じています。大きなキャッシュが集まる所でスタートアップが増えるのは、ある意味自然なことだと感じています。