労働者や周辺の住民にアスベストを曝露させた可能性のある重要な情報は、通常なら把握した当日に労基や保健所といった監督官庁に届けられるものだが、県に情報が伝えられたのは4ヵ月以上たった今年2月になってからだった。労基にいたってはいまだに報告もされておらず、測定値すら知らない状態だ。

 保健所の担当者は「そういう結果が出ているならできるだけ早くうちのほうに報告がほしかった。次回はこういうことがないようお願いしました」と話す。

 だが、労基も保健所も「発注者である自治体には報告義務も指導権限もないので、文句は言えるかもしれないが、それ以上は難しい」と口をそろえる。

 両者は「権限がない」というが、関係機関の話を聞くかぎり、同時に危機感も感じられない。正式に抗議するわけでもなく、国に報告して対応を求めるわけでもない。

 危機感のなさは石巻市も同様だ。

 公表されていないため詳細は不明だが、今年に入ってから実施したという二度目の測定で数値が下がったとされる。亀山市長が市議会で答弁した「散水のほか、飛散防止や封じ込めの対応を行う」との対策が功を奏したと考えているようだ。

 だが、それはおかしいと前出の永倉氏はいう。

「たまたま一度下がったということもあり得る。測定して異常な数値がでて毎日測り続けて、もうずっと出ていないというならともかく、一度大きな数字が出て、その原因がわからない以上、安全とはいえない。だいたい敷地境界でこれだけアスベストが出たら、毎日は無理でも毎週くらいは測るのが当然です。それすらせず、もう一回測定してたまたま低かったから、それで安全宣言というのは理屈に合わない」

ほかにも隠された飛散事故が?

 永倉氏が続ける。

「それに過去にがれき置き場で測定されたことのない高濃度で検出されたのですから、普通ならまず作業を止めて原因究明をします。それをしなかったとすれば、ようするにアスベストがいくら飛散して、作業員や住民が曝露したとしてもどうでも良いと思っていたということですから犯罪的です」