東日本大震災から半年。被災地でのがれき処理が本格的に動き出し、ようやく大手ゼネコンの出番がやって来た。総額1兆円を超えるともいわれるがれき処理は、公共事業の激減によって苦境にあえいでいたゼネコンにとって、まさに「干天の慈雨」となりそうだ。

がれき処理や道路・港湾の整備、街づくりなど、復興需要のメニューは幅広い
Photo:JIJI

 東日本大震災で大きな被害を受け、多数の死傷者を出した宮城県仙台市。悲嘆に暮れた3月11日から7ヵ月がたった今、“復興バブル”の宴が繰り広げられている。

 東北地方随一の歓楽街として知られる国分町は朝まで大にぎわい。市内のホテルはどこも空室を探すのが難しいほどだ。

 宴の主役たちは、ゼネコンやマリコン(海洋土木や港湾建築工事を請け負う建設業者)、プラント設備業者などだ。

 地震や津波で壊れた工場設備の修復といった民間企業からの発注工事はもちろん、ここにきてがれきの処理や道路・港湾の復旧工事など、国や地方自治体からのインフラ工事の発注も本格的に動き始めている。

 特に大規模な入札で話題に上ったのは、被災地のがれき処理。広範囲に津波が押し寄せたため、今も岩手・宮城・福島の3県合計でおよそ2270万トンものがれきが残されている。なかでも宮城県は、1569万トンと突出している。

 その宮城県は7月下旬、県下で最大のがれきが残る石巻ブロックから処理業者選定をスタート。8月下旬には、亘理名取ブロックで、残る気仙沼ブロック、宮城中部ブロックについてもこれから順次、業者選定を開始する予定だ。9月に入ってからは、岩手県でも業者選定が始まった。

 がれき処理で活躍するのは、大手ゼネコン各社だ。木材からコンクリート、鉄など、さまざまなものが交じっているがれきを分別し、焼却処理をしたり、リサイクルに回したりするなど、大がかりで手間のかかる作業となるため、大手のノウハウが必要とされる。

 石巻ブロックは、鹿島を中心としたゼネコン9社の共同企業体(JV)が一括で受注。焼却のためのプラントを5基建設し、1日1500トンのがれきを約2年かけて処理する計画で、金額は2000億円にも上る。

 また、4分割して業者を選ぶことになった亘理名取ブロックでは、西松建設、ハザマ、大林組、フジタの各JVが、仲よく受注を分け合った。

 かつてない被害のため、最終的な処理費用がいくらになるのか誰にもわからない。だが、業界では、「最低でもおよそ1兆円、費用がかさめば1兆数千億円にも上る可能性がある」(中堅ゼネコン幹部)といわれている。