新たにシード特化ファンドを組成したDNX Ventures。昨年からはインキュベーションオフィス・コミュニティを通じた企業の成長支援にも取り組んでいる
新たにシード特化ファンドを組成したDNX Ventures。昨年からはインキュベーションオフィス・コミュニティを通じた企業の成長支援にも取り組んでいる

ファンドサイズの拡大とあいまって、VC(ベンチャーキャピタル)の守備範囲が広がり始めている。

従来は起業して間もないシード期のスタートアップに投資をしていたVCが、既存投資先への追加投資を含めてシリーズA段階の企業にも投資を行う。反対にミドルステージからレイターステージを主戦場としていたVCが、より若いフェーズのスタートアップも支援するようになる──。そのような動きが国内のVCでも活発になってきた。

日米に拠点を構え、シリーズAラウンドのB2Bスタートアップを中心に投資を行ってきたDNX Venturesもその1社だ。同社ではこれまでメインファンド(約330億円の3号ファンド)の一部をシード投資に当ててきたが、その動きをさらに加速させるべく、日本のシードスタートアップに特化した30億円の新ファンドを組成した。

DNXのマネージングパートナーで日本の代表を務める倉林陽氏によると、今回シード特化ファンドを立ち上げた背景には「(投資家の目線で)シリーズAにおける日本の競争環境が激しくなってきている」ことも影響しているという。

特に同社が積極的に出資をしているB2B SaaSに関しては投資家の注目度が高く、大型の資金を集める企業も増えてきている。シリーズAの段階ではプロダクトの検証が終わり、今後の成長軌道がある程度予測できるケースも多いため、人気の企業には複数の投資家が殺到しやすい。