マネーフォワード IT管理クラウドがやろうとしているのは、まさにその“SaaS版”と言えるだろう。同社の要諦とも言えるアグリゲーション技術を転用することで、導入しているさまざまなSaaSの利用状況を1つのサービス上で可視化する。

ベータ版では導入しているSaaSごとのID発行状況や従業員ごとのID発行・利用状況の一覧が見れるほか、退職者のIDを自動で検出する仕組みも導入。これらの機能により「どのメンバーが、どのような権限で各SaaSを利用しているか」を簡単に把握できるほか、「数カ月使われていないアカウントやすでに利用者が退職しているのに契約が続いているアカウント」にもいち早く気付ける。

社内で導入しているSaaSの利用状況を1カ所で把握できるのが特徴だ
社内で導入しているSaaSの利用状況を1カ所で把握できるのが特徴だ
メンバーごとのページでは利用サービスや権限などを詳しく見ることもできる
メンバーごとのページでは利用サービスや権限などを詳しく見ることもできる

「ヒアリングをしてみても『SaaSを数多く導入している』という企業が増えてきている状況です。(SaaSの普及にともなって)導入するサービスもどんどん増え、管理が難しくなってきている。特定の部門だけで使われているケースもあるので、よくよく調べてみると情報システム部門の担当者が知らなかったということもあります」(今井氏)

社員数や導入SaaS数が増えてくると入社退社時のID発行・削除の業務負荷が重たくなるだけでなく、不要なアカウントに対して無駄なコストを支払ってしまうような事態にもなりかねない。

マネーフォワードも自社で200以上のSaaSを活用しており、当事者としてもSaaS管理の課題を感じるようになってきたのが事業立ち上げのきっかけになった。特にマネーフォワードiで取締役を務める村上勝俊氏は社内のインフラ整備やツールの導入などを担当していたため大きな課題感を持っており、本事業の企画立案に至ったそうだ。

マネーフォワードでは200以上のSaaSを活用している
 

マネーフォワード IT管理クラウドでは現時点で海外のSaaSを中心に国内のものも含めて67個のサービスを管理することが可能。今後も連携を進めながら、まずは100以上のサービスへの対応を目指していくという。

また並行して機能拡充にも取り組む計画で、社内で未検出な状態の「シャドーIT(経営管理部門や情シスが把握しきれていないSaaS)」を検出する仕組みのほか、入退社時のID発行や削除を自動化する機能、導入しているSaaSごとのコストを可視化する機能なども順次実装していく方針だ。

SaaSの統合ツールは国内外で注目 

SaaSの普及に伴い、社内で増え続けるSaaSの管理を手助けするサービスのニーズが高まっている。

日本以上にSaaSの利用が進む米国などでは「SaaS Management Platforms」に分類されるサービスが数十個存在し、各サービスを比較するレポートなども発行されているような状況だ。