『超入門ブロックチェーン』
森川夢佑斗著『超入門ブロックチェーン』(発行:エムディエヌコーポレーション/発売:インプレス)

これにより、出来事や考え方を、すぐさま文字情報に写し取り、すばやく大量の人間に伝えることができるようになりました。これは印刷業・出版業の始まりであり、記録の作成者と閲覧者を大幅に増やすことになります。

また、20世紀最後に普及したインターネットは、既存のインフラであった電話線網を用いて遠隔地のコンピュータ同士の通信を可能にしました。記録の作成と流通を活版印刷以上に分散化させることに成功したのです。

ところが、ここでやり取りされる大量のデータを破綻なく処理するために、通信内容を集約し記録していくサーバー、つまり記録の管理者が必要となりました。現代において記録の管理者として大きな力を有する存在がGAFA(ガーファ)のような巨大プラットフォーマーです。彼らは大量の情報をビッグデータとして活用し、巨額の利益を得ています。

「価値の記録媒体」として利用が広がるブロックチェーン

かつて、活版印刷が庶民に情報を手にする機会をもたらし、インターネットが情報発信の機会を与えたように、ブロックチェーンは誰もが確かな情報を記録し利用できる機会を与える存在となるでしょう。

確かな情報を記録する力が最初に発揮された「価値の記録」の領域で、ブロックチェーンはどのように利用されているのか。次回はアートやブランド品の真贋管理で活用されるブロックチェーンの事例を紹介します。

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