「来年か再来年にはPC向けと専用機向けの販売割合を同等にしたい」
ゲーム業界の秋の風物詩の1つとなっているイベント、「東京ゲームショウ」。今年も昨年に続きオンラインでの開催となった。イベントにあわせて日本経済新聞が実施したカプコン代表取締役社長・辻本春弘氏のインタビュー記事の内容が、業界全体に大きな衝撃を与えた。
ファミコン、スーパーファミコン、PlayStationと常に最新のゲーム機向けにソフトを発表し、成功を収めてきたカプコン。これまでもPC向けソフトを発売してきたことはあるが、販売の50%をPC向けにするというような戦略を明言したことはなかった。カプコンといえば2021年3月に発売した『モンスターハンターライズ』が、ニンテンドースイッチ専用ソフトながら730万本という大ヒットを記録したばかり。ゲーム機向けソフトが好調の中で、業界関係者の多くが想定していなかった内容だ。
では、世界的ヒットを飛ばすカプコンが注目するPCゲームのマーケットはどうなっているのか。今回はその最新事情を解き明かしていく。なお現在、PCでのゲームの販売と言えば、現在はほとんどがSteamやEpic Gamesストアに代表されるプラットフォーム(ストア)でのダウンロード販売のことを指す。本記事ではSteamを前提にPCゲーム販売の説明を進める。
PCゲームストアの代表格の1つであるSteam(運営は米Valve Corporation)は、月間1億2000万人のアクティブプレーヤー数を誇る。PCゲーム・コンテンツ販売のほか、デジタル著作権の管理やユーザー交流を補助する機能などを提供する。こういったストアを通じての販売は、ゲームメーカー(パブリッシャー)から見て一体どんな利点があるのか。以下に挙げてみよう。