また、ケルセチン誘導体の中でも、ケルセチン-3-グルクロニドはケルセチンよりもはるかに低い濃度でALDH2活性を50%まで低下させることも判明した(50%阻害濃度はケルセチンで26.5μM、ケルセチン-3-グルクロニドで9.62μM)。
論文の共著者である、米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)頭痛センターのMorris Levin氏は、「赤ワイン頭痛を起こしやすいタイプの人、特に片頭痛などの一次性頭痛をもともと持っている人では、ごく少量であってもケルセチンを含有するワインを摂取することで頭痛が生じるというのがわれわれの考えだ」と説明し、「われわれは、この長年にわたる謎の解明に向かって正しい道を歩み始めたと感じている。
ブドウがどれだけ日光を浴びたか
それが問題だ
次のステップは、こうした頭痛が生じる人を対象に科学的な検証を行うことだ」と述べている。研究グループは、今後はヒトを対象とした小規模な臨床試験を実施し、ケルセチンを多く含む赤ワインと、ほとんど含まない赤ワインの効果を比較する予定だとしている。
論文の上席著者で、カリフォルニア大学デービス校ブドウ栽培・醸造学部名誉教授のAndrew Waterhouse氏は、「ケルセチンはブドウが日光に曝されることで生成されるため、赤ワインに含まれるケルセチンの濃度は、ブドウが収穫前に浴びた日光の量によって劇的に変化する。
ナパバレーのカベルネのように、ブドウの房を露出させて栽培するとケルセチンの濃度が高まり、時には4~5倍にまで増加する」と話す。また、赤ワインに含まれるケルセチンの濃度は、ワインの製法によっても変化するという。
ただ、臨床試験でケルセチンと頭痛の関連が明らかにされたとしても、なぜ一部の人が他の人と比べて赤ワイン頭痛を起こしやすいのかについては依然として不明だと研究グループは説明。
考えられる要因として、こうした人は、ケルセチンによって阻害されやすい酵素を持っているか、アセトアルデヒドの蓄積による影響を受けやすいことなどが挙げられるとしている。Waterhouse氏は、「もし、われわれの仮説が実証されれば、これらの重要な問題に取り組むための手がかりを得ることになるだろう」と話している。(HealthDay News 2023年11月22日)
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